組織人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションが、国内初となるISO30414の認証を取得した。これを機に、国内でも認証取得の動きが広がると見られている。認証取得へ向かう企業の動機やメリットは何か。どのような準備を進め、どのような審査が行われたのか。同社のキーマンに聞いた。

国内初となるISO30414認証を取得されました。認証取得に臨まれた目的やきっかけを教えてください。

川村宜主氏(以下、川村):当社は2000年4月に創業した、「モチベーション」にフォーカスした組織人事コンサルティング会社です。従業員のモチベーションやエンゲージメントを成長の原動力とする企業を支援してきましたが、その前提として、当社も創業時から人的資本経営に積極的に取り組み、従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の状況は決算発表とともに公開してきました。

 近年、人的資本の情報開示を求める動きは世界的な潮流になっています。欧州や米国では上場企業に義務づける動きが加速し、国内でも人材版伊藤レポートやコーポレートガバナンス・コードの改定などが注目されています。ISO30414の認証取得が可能になったという話を聞き、いち早く第三者による評価を受けてみようと考えました。「人的資本経営のトップランナーでありたい」という当社のポリシーを、第三者認証という形で内外にしっかりと伝える必要があると考えたわけです。

川村 宜主 氏
川村 宜主 氏
リンクアンドモチベーション 執行役員(リレーションデザイン室 管轄) 2000年にリンクアンドモチベーション入社。エントリーマネジメント(企業の採用戦略コンサルティング)に10年間携わり、マネジャーを歴任。2010年、モチベーションアカデミアを設立し塾長となる。2014年にグループデザイン室 広報・秘書ユニットマネジャー、2021年グループデザイン室 広報・人事ユニットマネジャー。2022年より現職。(写真提供:リンクアンドモチベーション)

認証取得に向け、4つのステップで活動を推進

ISO30414の認証取得までに、どのような活動をされましたか。

川村:活動は2021年7月頃からスタートしました。通常は1年ほどかけて認証準備する企業が多いようですが、当社は2022年3月の株主総会までに認証を取得できるよう、通常よりかなり前倒しで進めました。

 認証を取得するまでには、大きく4つのステップがあります。第1のステップは「現状把握」。まず、ISO30414を深く理解する必要があります。人事部門の3人のメンバーが1カ月ほどかけ、ISO30414の認証機関であるHCプロデュース(東京・千代田)の「ISO30414 プロフェッショナル認証講座」を受講し、「ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー」の資格を取りました。そのメンバーが中心となって社内を調査し、1カ月ほどかけて現状とデータの把握を進めました。この時点で、すでにISO30414が示す58の指標のうち約7割をカバーできていました。

 第2のステップは「仕組みの構築」です。カバーできていない指標のデータを収集する仕組みを構築するとともに、すべての指標に関して自社なりの細かな定義づけを行います。この作業には2カ月ほどかかりました。

 第3のステップは「戦略策定」です。当社の人材戦略をまとめ、その内容をしっかりと言語化しながら、どの戦略がISO30414のどの項目に該当するかを詳細にまとめます。企業戦略に合わせてデータの優先順位を決め、自社のポリシーに即して人的資本経営全体のストーリーを構築していきます。このストーリーが今回認証を取得するにあたって制作したヒューマンキャピタル(HC)レポートの骨格になります。

 第4のステップは審査と認証です。

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