2022年3月、国内初となるISO30414の認証を取得した企業が誕生した。その審査と認証を行った、現在(2022年6月時点)では国内唯一のISO30414認証機関であるHCプロデュース(東京・千代田)の保坂駿介氏に、認証取得の目的や審査の内容、国内企業の動向、今後の展望などについて聞いた。

国内の認証企業第1号は、組織人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションでした。

保坂駿介氏(以下、保坂):まず、守秘義務契約があるため、個社の情報についてはお話しできず、一般論や既に公開されている情報についてお話させていただく点をご了承下さい。リンクアンドモチベーションがいち早く認証を取得できたのは、ISO30414の重要性にいち早く気づき、他社に先駆けて準備を進められたからでしょう。同社は創業時から従業員エンゲージメントに着目し、20年以上もその向上に取り組んできました。そうした取り組みとISO30414の相関性が高かったわけです。同社の方が「当社の考え方に時代が追いついてきた」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 もう一つの理由は、当社が2021年7月に実施した「ISO30414 プロフェッショナル講座」の第1回を3人の社員の方が受講し、早々にISO30414コンサルタントの資格を取得されたことです。この方々がリーダーとなって自社のコンサルティングを行ったため、データの整備と審査の準備が早く整ったと思われます。なお、同一機関が同一クライアントに対し、コンサルティングと審査の両方を行うことはできません。

保坂 駿介 氏
保坂 駿介 氏
HCプロデュース 代表取締役。慶応義塾大学 法学部 政治学科 卒業。米フロリダ州立大学 国際関係論修士。日本輸出入銀行(現国際協力銀行)、ドリームインキュベータを経て2021年10月にHCプロデュースを創業。国際協力銀行では、アジアや中東地域において日本企業が関わるインフラプロジェクトへの融資や途上国政府向け債権のリストラ等に従事。ドリームインキュベータでは、組織・人材プラクティスの責任者として経営幹部育成や組織改革等を推進。さらに10年かけて200人のリーダーを育成する「経営塾」を展開。日本初のISO 30414コンサルタント/リードアセッサーとして、人的資本マネジメントを支援。

ISO30414認証の概要を教えてください。

保坂:認証は、パキスタンのHR Metrics社と当社の2社による共同認証を行っています。後述する「ISO 30414講座(マスター/プロフェッショナル認証)」の個人認証も、HR Metrics社との提携によって進めています。HR Metrics社の代表を務めるZahid Mubarik氏は、ISO30414を作成・発行した国際標準化機構(ISO)の専門委員会「TC260」の中心的なメンバーの一人です。作成当初からISO30414に深く関わり、その内容と意図をよく理解しています。

国内で認証取得を目指す企業は増えているのでしょうか。

保坂:増えています。2021年末の段階では、認証を目指す国内企業はまだ20社ほどでしたが、現在では100~200社ほどが認証取得に向けて動いているようです。

 ISO30414の認証を取得するには、まずISO30414の58項目の指標に従って必要な内部データをそろえることから始めます。データの準備がある程度終わったところで、認証機関に審査を申し込む形になります。認証を目指す国内企業の多くはデータを準備している段階にありますが、複数社からは審査のご依頼もいただいています。

 私は、認証それ自体が目的になってしまってはいけないと考えています。認証を取得する目的の一つは、ISO30414を活用した人的資本経営の仕組みを第三者の目でチェックすることを通じて改善していくことです。ISO30414の理解が正しいかどうか、しっかりと機能する取り組みになっているかどうかを第三者の目で確認しながら、取り組みをより確実にすることで人的資本のさらなる価値向上を目指すわけです。

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