データ重視の人的資本経営を目指す企業にとって、HRテクノロジーは必須のアイテムだ。ISO30414などの国際的な基準でHRを見ていくには、人事だけでなく事業や財務に関するデータも必要になる。そこでHRシステムやツールを提供する企業に、人的資本経営への取り組みについて話を聞いていく。今回はデータ活用のトレンドやテクノロジー選びの勘どころについて、ERP(統合基幹業務システム)大手のオラクルに聞いた。

──ERPと呼ばれる業務基幹システムをグローバルに展開しています。最近進んでいるデータ重視の人的資本経営をどう見ていますか。

善浪広行氏(以下、善浪):ISO30414の内容を見ても分かりますが、人的資本の問題はもはや人事部門だけの話ではなくなってきています。企業として人的資本をどうとらえ、どう伸ばしていくか。経営トップと人事、財務、IR、経営企画を含むあらゆる関係者がデータ中心に議論していく必要があります。

 最近、大手企業のCFO(最高財務責任者)と話すと、非財務情報をどうとらえるかという話題で持ち切りです。企業活動が黒字に見えても、本当にそうなのか。管理会計的な視点から、潜在的なリスクや影響を把握していくことが求められます。そこには当然、人的資本の問題も絡みます。今後、ERPとHCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)の領域はさらに緊密になっていくでしょう。

 またESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)の流れにおいて、この問題はもはや一企業に収まる話ではなくなっています。協力企業とどう付き合うべきか、サプライチェーンを構成する企業のパーパスはどうなっているのか、環境や人材への取り組みはどうかなど、様々な情報を取り込みながら人的資本の問題をエコシステム全体でとらえる必要性が高まっているのです。

善浪 広行(よしなみ ひろゆき)氏
善浪 広行(よしなみ ひろゆき)氏
日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMクラウド事業本部 執行役員
大学卒業後、日本オラクル入社。アプリケーションやデータベースの営業としてメガバンクなど金融業界を担当。その後、新規事業の立ち上げや営業部長職を経験。2015年より、アプリケーション・ビジネスにてアライアンス本部長、事業開発本部長を歴任。2017年、オラクル・デジタルを新設し、自社のトランスフォーメーションを牽引する。2018年6月 執行役員に就任し、2020年6月より現職。(写真提供:日本オラクル)