日本企業が得意な「現場力」によるDXを実現せよ

――ISO30414を取り巻く最近の議論についてはどう思われますか。

善浪:ISO30414に関する議論を見ていると、「11領域の各項目をどうクリアすべきか」とか、「HRリポートにどのようなデータを載せるべきか」といった話題が中心になりがちです。しかし、問題の本質はそこではありません。「日本企業はジョブ型を導入していないから、情報開示が難しい」といった議論も、少し違うように思います。重要なのは会計、人事、サプライチェーン、そしてその外側へと、データドリブンですべてのビジネスプロセスをつなげていくことです。

 この動きの背景には、ビジネスプロセスの変化が速まっている実態があります。ビジネス環境の先行きが不透明化する中で、データを使って実態を正しく理解し、素早い意思決定が求められているのです。

――そうした動きを踏まえると、今後のデータ活用はどうなっていくでしょうか。

善浪:データ活用の7~8割は、あらゆる企業に共通するものとして標準化が進むでしょう。残りの2~3割で、企業ごとのオリジナリティーが発揮されていきます。各社各様のデータ活用によって独自の価値を生み出し、他社との差異化や競争力の強化につなげていくわけです。

 標準化のようなアプローチは、トップダウン型の欧米企業が得意としています。それに対し、日本企業が得意とするのは「現場力」の強さでしょう。すべてのデータが一つに統合され、現場の人たちが自身の手でデータを自在に利用できる環境が整えば、自然に議論が活発化していきます。各現場がサプライチェーンや環境へのインパクトまでを見通し、データに基づく意思決定ができるようになれば、日本企業が得意な形でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むに違いありません。

 当社の発祥はデータベース製品です。創業以来、データをすべての中心に位置づけて様々なアプリケーションを開発してきました。今後、あらゆるビジネスプロセスがつながっていく中で、この開発思想の重要性はさらに高まっていくと考えます。