人的資本経営を目指す企業にとって、HRテクノロジーは必須だ。データに基づく意思決定は、勘と経験に頼る人事施策を飛躍的に向上させ、人的資本への投資効果を最適化する。HRシステムを提供する企業に、人的資本経営への取り組みについて話を聞いていく。今回はHRテクノロジー導入の効果についてSAPジャパンに聞いた。

──HRテクノロジーの導入目的と期待できる効果について教えてください。

稲垣利明氏(以下、稲垣):まずは、人材に関わる業務プロセスをデジタル化し、通常業務をこなすだけで整合性の取れたデータが自動的に蓄積される環境を作ることが、最初の目的になると考えます。業務効率が飛躍的に向上すると同時に、企業は多くの有意義なデータを手に入れることができます。

 次にデータを可視化して分析し、これに基づく論理的な意思決定ができる環境を作ります。このとき、単にデータを利用可能にするだけでは、人的資本経営の本質的な目的に応えられません。人事担当者の勘や経験だけでは得られない、深い洞察を導き出せる仕組みが必要です。

 KPI(重要業績評価指標)ごとに影響の大きい事象や要因を特定し、改善への施策に生かせることが理想です。データから現状を客観的に分析して改善の方向性を見いだし、適切な施策を実行する。このプロセスを素早く繰り返すことで、人的資本への投資効果を最適化できます。これを可能にするデジタル基盤を提供することが、私たちの使命です。

稲垣 利明(いながき としあき)氏
SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部長
2003年SAPジャパンに入社、組み立て型製造業の大手顧客を担当し、ERP(統合基幹業務システム)導入による業務改革(BPR)・経営改革・情報化の提案活動に従事。2013年から戦略顧客営業部門、2015年から人事クラウド営業部門長を歴任。2018年にバイスプレジデントに就任、人事クラウド事業を統括し、2019年からヤングタレントの採用育成の責任者も務める。(写真提供:SAPジャパン)