コロナ禍による環境変化は、従業員の精神状態やキャリア意識に大きな影響を与えている。この1年間で受けた孤独感と疎外感は、もはや「自分の手に負えない状況」だ。慶応義塾大学大学院特任教授の岩本隆氏が、日本オラクルの従業員キャリア意識調査から読み取った4つのメッセージを語った。

(写真:123RF)
(写真:123RF)

 「コロナ禍が従業員のキャリア意識を大きく変えている」と語るのは、慶応義塾大学大学院経営管理研究科特任特任教授の岩本隆氏だ。日本オラクルが2021年11月に発表した従業員キャリア意識調査は、13カ国1万4600人以上の従業員やマネジャー、人事部門リーダー、経営層を対象に行われ、日本では約1000人から回答を得た。日本国内の結果から、岩本氏は4つの大きなメッセージを読み取った。

 第1のメッセージは「コロナ禍で従業員が受けた孤独感と疎外感は、もはや自分の手に負えない状況にある」ということだ。日本の回答者の67%が「この1年間でマイナスの影響を受けた」とし、50%が「2021年は職業人生で最もストレスの多い年」と答えている。

 67% が「私生活に行き詰まりを感じている」と回答。コロナ禍以降、「私生活と仕事をほとんどコントロールできていない」または「全くコントロールできていない」と感じる人が増えている。特にコントロールを失った項目としては、「自分の将来(43%)」「キャリア(42%)」「職場の人間関係(42%)」「私生活(41%)」「金銭(39%)」が上位となった。

 第2のメッセージは「キャリアチェンジへの意欲はあるが、同時に大きな課題に直面している」ことだ。回答者の86%が「この1年で自分の人生について振り返ることがあった」と回答。78%が「コロナ禍により自分にとって成功の意味が変わった」としている。

 成功の意味がどう変化したかについては「ワーク・ライフ・バランスの実現(30%)」「メンタルヘルスの維持(30%)」「可能な限りお金を稼ぐこと(26%)」「働く場所や時間に柔軟性のある働き方(24%)」が上位を占めた。一方、「仕事で息詰まりを感じた理由」に関しては「キャリアアップの機会がなかった(22%)」「周囲で起きていることに圧倒され、それ以上の変化を望まなかった(17%)」「どのようにキャリアを進めればよいかわからなかった(15%)」「適切なスキル不足で新たな機会を逃した(14%)」と続いた。

 72%の人が「変化を起こすうえで大きな障害に直面している」と答え、77%が「労働者は雇用主による支援に満足していない」と回答している。岩本氏は「企業は従業員の支援を強化すべきだ。このままでは、優秀な人材から外部へ流出する恐れがある」と指摘する。

 「個人の変化に対し企業に求めたいこと」としては「より多くの賃金(27%)」「学習やスキル開発の機会(26%)」「柔軟な働き方(リモートワークなど)(24%)」「テクノロジーを活用したキャリア提案(20%)」が上位を占めた。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録