一般社員にはジョブ型は導入しない

 カゴメでは生産性向上のため2018年からテレワーク体制を推進していたが、コロナの影響で加速した。コロナ後の変更は、コアタイムをなくしスーパーフレックスに切り替えた点くらい。通勤時間を業務時間に充てた結果効率も上がり、主体的に仕事ができる人も増えた。意思決定も速くなったと感じる。今では、元の働き方には戻るつもりはない。

 出社は週1回をメドとしているが、現部署内での報告・連絡がメインの目的ではないのがポイントだ。他部署と対面でやり取りしたり、部署横断プロジェクトでのコミュニケーションが目的。縦割り業務を是正して横連携を進め、部署を越えた個人のネットワークを構築してほしいと考えている。

 課題は、工場など生産現場で働く従業員への対応だ。在宅というわけにいかないので、テレワークできる従業員との間の不公平感をなくしたい。HRBP(人材育成担当)が現場の要望をヒヤリングし、課題を洗い出しているところだ。

 ジョブ型は、既に2013年に役員クラス、2014年に部長・課長クラスに導入した。2012年にカゴメに入社してすぐ、職能資格制度から職務等級制度に変えることに取り組んだ。「人にお金を払う」やり方とは決別し、「仕事にお金を払う」形にしたわけだ。

 ただし非管理職には、あえてジョブ型は適用しない。理由は、担当職の若手社員には様々な仕事の機会が増え幅が広がる可能性があるから。一般社員は、ジョブを規定するとかえって本人の成長や横連携の機会を妨げてしまう懸念がある。

 オフィスのリニューアルは、実は2019年に一部実施した。業務効率化のため、会議時間を短縮する目的であえて大きな会議室をつぶしたり、立って話せるスペースに変えたりしていた。出社率も減っているので、賃貸している本社オフィススペースの縮小についても議論の俎上に上っている。

 また当社は栃木県・那須塩原に工場や研究所があり、ここに在住する人は東京のオフィスに通わなくても現地での就業が在宅勤務とテレワークの導入とともに増えた。

 テレワークもオフィスリニューアルも、2020年の五輪開催に向けて早くから手を打っていた。そんな中で新しい働き方の課題は、実は「長時間労働」だ。家で仕事をすると、何時間でも働いてしまう傾向が散見される。今後はアンケートやエンゲージメントサーベイを通じて従業員の声を聞きながら、様々な施策を進める。当社にとって最も大事な、従業員のキャリア自律をより進められるよう、これからも打つべき手はどんどん打っていくつもりだ。(談)