「ジョブ型で仕事の進捗管理」には違和感

 テレワークに△を付けたのは工場生産ラインで直接生産活動に携わっている社員は、テレワークができないからだ。

 AGCでは社員7000人中の半分以上が工場で働いている。デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、仮想現実(VR)技術を使ってベテラン技術者が海外拠点の現場を遠隔指導することなどが可能になった。DXで業務がどんどん進化すると、工場で働く人は減るかもしれないがゼロにはならない。今後、数年以内に工場でテレワークが可能になる可能性は低いだろう。

 ジョブ型雇用については、2006年から導入している。グローバルでポジションを比較したり、人を異動させたりするためだ。

 それでも△を付けたのは、今日本で注目されている「テレワーク環境下で働く社員の日々の業務の進捗を把握するためにジョブ型にする」という潮流には、ちょっと無理があると感じているからだ。

 「ジョブ型=ジョブディスクリプション(職務記述書)を書くこと」ではない。目標管理制度を運用している企業なら実感すると思うが、期初に定めた目標やミッションが、経営環境の変化によって期中に変わることは日常茶飯事だ。当社でも「ジョブディスクリプションに書かれたことだけやればいい」とは絶対言わない。テレワーク中の仕事の進捗をジョブディスクリプションから判断するというが、そもそもジョブディスクリプションで週単位の仕事の詳細まで書いてあるわけではないので無理ではないか。

 当社では役職者にしかジョブ型を適用しておらず、ジョブディスクリプションがあるのはそのなかでも上位の人に限られている。10年以上運用して良かったのは、ポジションに人を当てる考え方が浸透したことだ。「この人は成長したからそろそろ課長に」といった曖昧な基準ではなく、まずポジションありきでふさわしい人を選抜するという考え方が定着した。

 定期新卒採用はジョブ型ではないし、キャリア採用も一定割合はジョブ型を適用しているが、将来のケイパビリティに期待して新卒と同様に採用する社員も多い。キャリア採用ではポジションを決めて募集するのは普通のことなので、それをあえてジョブ型というのも違和感がある。

 結論を言うと、コロナ禍にあってもジョブ型の適用範囲は変えないし、部長以上の役職者ポジション以外はジョブディスクリプションを必須としないという方針も従前のままだ。