争奪厳しいIT人材、新たな雇用体系が必要

 在宅勤務は2017年に導入したが、全く浸透していなかった。実施率は全体で11%。所属長は8%程度だった。「東京五輪を機会として定着させたい」と言っていたところに新型コロナで緊急事態宣言が出て、原則在宅勤務になった。コロナという「外圧」で一気に浸透した形だが、今後も生産性向上を目的として継続していく予定で、東京の事業所においては在宅実施の数値目標も決める。工場など在宅が難しい職場もあるが、どの部署においても生産性を高めるための手法として活用することを考えていきたい。

 2020年の6月~8月に経営企画部主導で、人事、総務、経理、システム部門が参加した「働き方見直しプロジェクト」を実施した。人事部門では、今後の検討課題として在宅勤務を中心として、労務管理、人材育成、手当等の制度周りなどが出ている。特に育成は重要な課題だ。例えば外回りを始めた新人に対し、先輩や上司がオフィスにいれば、顔を見て状況に応じてフォローしたり指導したりできるが、在宅ではなかなか難しい。テレワーク時代のコミュニケーションとして、新たな手法を探していかなくてはいけない。

 中途採用についてはジョブ型を取り入れ、職務を限定してIT(情報技術)や経理、開発の要員を獲得している。経理はIFRS(国際財務報告基準)や海外税務などに詳しい人材だ。担当業務によって報酬を変える職務給の導入予定はないが、これらの職種については特に人材争奪戦が激しいので、高度プロフェッショナル人材として総合職とは別の報酬体系を適用することも検討しているところである。退職金をなくして、年俸を高くするといったやり方も検討に値するだろう。

 新卒は今のところメンバーシップ型だが、こちらもジョブ型の必要性を感じている。主な理由はグローバル化だ。事業のグローバル展開が進む一方で要員はひっ迫している。ゼネラリストではなく、この道で生きていこうとする意思を強く持った専門性の高い人が必要だ。海外法人に日本から人を出すとき、専門性がないと現地の人たちから軽視され本人も仕事がしにくいことが多い。経理やエンジニアの海外要員を新卒から専門性を見ながら採っていくことが必要だ。

 グローバル人材以外についても同様だ。これまでは様々な経験をさせて育成するゼネラリスト型人材を採用していたが、今後はマーケティングを含め様々な分野で専門性を持った人材をジョブ型で新卒から採りたい。「対人業務は不得意だが、数字は得意」というように、個性があって、専門的な勉強をしてきた人を確保できるように、例えば事務系20人採るとしたら5~6人は特定の分野でのプロとして育てるといった方針を最初から決めておくようにしたい。