(写真:123RF)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本でもテレワークが急速に普及しつつある。テレワークに欠かせないのはノートパソコンやウェブ会議ソフトなどのITツールだ。だがITツールを用意するだけでは不十分。様々な社内ルールの整備こそが大切である。企業によっては就業規則の見直しが必要になることもある。テレワークの成否はルール整備が左右すると言っても過言ではない。

 厚生労働省はテレワークを導入する企業のルール整備を支援する目的で「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」という冊子を公開している。この手引きによると、テレワーク勤務の労働時間に関する制度や労働条件が通常の勤務と同じ場合、企業は従来の就業規則に沿ってテレワークを社内で導入・展開できる。

 一方、テレワークを始めるのに伴い、新しい勤務時間の制度を採用する場合は、就業規則の見直しが必要だ。同様に、テレワークに関する通信費などを社員に負担させる取り決めを盛り込む場合も、就業規則の見直しが必要になる。就業規則とは一般的に、労働時間や賃金の負担などに関して取り決めるものだ。

 企業が就業規則を変更する場合、法令などに違反しないことが求められる。そのため、就業規則を見直す際は公的な手続きが必要になることがある。具体的には常に10人以上の社員が働く企業の場合、労働基準監督署に届け出し、社員に内容を周知しなければならない。

 新たにテレワークの準備を始める企業は、これらのルール整備に「数週間が必要になる」。特定社会保険労務士/行政書士で人事コンサルティングを手掛けるSRO労働法務コンサルティングの杉本一裕氏はこう指摘する。

就業規則を見直す際の「3大ポイント」とは

 テレワークを始める場合、就業規則をどのように見直す必要があるのか。杉本氏によると「勤怠管理」「費用負担」「利用対象者や申請方法などの細則」の3大ポイントについて考える必要があるという。

 第1の「勤怠管理」については、テレワーク時の勤務時間の記録方法に関する記述を加える。例えば普段オフィスでタイムレコーダーを使っている場合は、テレワーク時の代替策を具体的に示す。「テレワーク時にも従来と同様に始業と終業のタイミングを記録して勤務時間を算出する」といった表現があり得る。

 始業時間などの記録はメールやチャットツールなどを通じて上司に報告したり、業務開始のタイミングを知らせる機能を持ったテレワーク用のソフトウエアを導入したりする方法が一般的だ。既に勤怠システムを導入して勤怠管理をしてきた企業は、特に就業規則の見直しは必要ない。テレワークでも同じように管理ができるからだ。

 勤怠管理で注意したい点がある。テレワークをする社員にも、労働基準法をはじめとする労働関連法が適用されるということだ。企業は社員の労働時間を正確に把握し、適切に管理する責任がある。テレワークは長時間労働になりがちになることから、業務時間外や休日に上司がメールを送らないなどの策を講じたい。残業や休日出勤についても、オフィスで働くのと同じように割増賃金の支払いが必要だ。

この記事は登録会員限定です。

登録会員お申し込み会員登録