ジョブ型への期待、首位は「専門人材の育成」

 ジョブ型への移行を決めている企業、あるいは検討を始めている企業、今後検討したいと考えている企業は、どのような狙いがあるのか。その理由を複数回答可の形で聞いてみた。すると、最も多かったのは「専門性を持つ人材を採用・育成する必要性が高まったから」で57.7%の人が選んだ。

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ジョブ型への移行を決めた、あるいは検討を始めた企業にその理由を尋ねた結果(複数回答)

 ジョブ型制度の導入を決めた金融機関で経営全般を管轄する役員は、自由意見に次のようなコメントを寄せた。

 「専門人財のキャリアビジョンが明確になり、より専門性を高めその発揮が期待できる。加えて、ライン系列だけの単線型から複線型の人事制度が構築でき、多様な人財が活躍できる環境が整う。さらに専門人財とゼネラリスト人財の知の組み合わせにより、イノベーションの創出にもつながる」。

 ジョブ型導入の狙いについて、2番目に多かった回答は「職務や成果に応じた人事評価制度の方が社員の能力や意欲を高めやすいから」(55.8%)。3位は「能力のある若手社員の流出を防ぐため」(50.0%)だった。「職責に応じた賃金体系となることは、若手社員のモチベーション向上につながるが、メンバーシップ型の良い面もある。欧米式をそのまま適用してもうまくいかないため、日本独自のジョブ型制度を検討する必要がある」。ジョブ型への移行を決めたIT・通信企業の総務・人事部門で働く回答者は、このように述べる。

 専門人材の育成、社員の能力意欲向上、能力ある社員の流出防止。これらが、人事リーダーや経営者らがジョブ型人事に期待する3大要素と言えそうだ。

 ちなみにジョブ型を導入・検討する理由として「テレワークの導入によって働き方が変わり、社員の自律性をベースとする制度に変える必要が生じたから」を選んだ人は44.2%だった。新型コロナウイルスの感染対策として、在宅勤務を全面導入する企業が増えた2020年のタイミングで、ジョブ型人事に注目が集まった。テレワークはジョブ型導入を検討するきっかけにはなったと言えるが、最大の理由というわけではなかった。

 勤務先の人事制度が既に「ジョブ型」もしくは「ジョブ型中心」と答えた人にも、導入の狙いについて聞いてみた。結果は「専門性を持つ人材を採用・育成する必要性が高まったから」が最多で68.0%の人が選んだ。以下「高度な専門能力を持つ人材を厚遇したいから」(52.0%)、「職務や成果に応じた人事評価制度の方が社員の能力や意欲を高めやすいから」(48.0%)と続いた。