ビジネスパーソンはジョブ型を「歓迎」

 ここで一般のビジネスパーソンを対象とした別調査の結果と比べてみたい。日経BP総合研究所 イノベーションICTラボが日経BPのデジタルメディアの読者・会員を対象に実施した「働き方改革とジョブ型人事制度に関する動向・意識調査」だ。本記事では別調査と呼ぶ。

 別調査で勤務先の人事評価制度が「メンバーシップ型」あるいは「メンバーシップ型が中心であり、一部にジョブ型を適用している」と答えた約7割の人に「ジョブ型の人事制度を導入してほしいと思いますか」と尋ねた。すると「ぜひ導入してほしい/導入したい」「どちらかと言えば導入してほしい/導入したい」との回答が60.2%に達した。

 ビジネスパーソンはなぜジョブ型の導入を望むのか。「ジョブ型の人事制度には、どのような長所があると思いますか」と全員に聞いた結果、首位は「従業員の専門性をより高めやすい」で62.7%の人が選んだ。

 2位は「年功よりも能力やスキルに応じた登用が進みやすい」(44.9%)。3位は「高度な専門能力を持つ人材の厚遇につながる」(44.5%)だった。上位3つの理由を見ると、ビジネスパーソンが専門性を重視している様子が浮かび上がる。

ジョブ型による成果、給料の増減、公募制の採用動向は?

 一足先にジョブ型を導入した企業は、期待通りの成果を得ているのだろうか。ここからは人事リーダーや経営者などを対象にした本調査に話を戻し、結果を見ていく。勤務先の人事制度が「ジョブ型」もしくは「ジョブ型中心」と答えた人に「どんな成果を得られましたか」と複数回答可の形で尋ねてみた。

 その結果、「社員の自律性・意欲向上」を挙げた人が44.0%で最多だった。2位は「生産性の向上」で32.0%、3位は28.0%の同率で「処遇や異動、人材配置の透明性向上」と「高度な専門能力を持つ人材の獲得・流出防止」が並んだ。

[画像のクリックで拡大表示]
既にジョブ型を採用している企業に「どんな成果を得られましたか」と聞いた結果(複数回答)

 ジョブ型の導入によって給料の総額は増えるのか、それとも減るのか。先行導入している企業の回答者に「貴社が社員に支払う賃金の総額は増えますか(もしくは増えましたか)」と聞いたところ、72.0%が「ほぼ横ばい」だった。「増える」と「やや増える」の合計は12.0%。「やや減る」の8.0%をわずかに上回った。「減る」はゼロだった。

 ジョブ型と言えば職種別賃金だ。先行導入企業の回答者に「あなたの勤務先では職種別賃金を採用していますか」と聞いたところ、「採用している」が44.0%、「採用していないが、検討はしている」が36.0%。「職種別賃金を採用しておらず、検討もしていない」は20.0%だった。

 異動の透明性は確保されているのだろうか。「あなたの勤務先では異動に公募制を採用していますか」と聞いたところ、「全面採用している」は8.0%で「一部採用している」は52.0%。「採用していない」は40.0%だった。

 ジョブ型を導入している企業においては職種別賃金の導入が広がり、公募制など異動の透明性も確保されつつある。一方で給料は総額で見るとあまり変わらない。こんな姿が浮かび上がった。

 今回はジョブ型制度に対する企業や担当者の「期待」を中心にまとめた。一方でどんな制度にもマイナスの面はある。次回はジョブ型制度の課題について取り上げる。

「ジョブ型人事制度に関する実態調査」概要  日経BPのICT(情報通信技術)領域のシンクタンクである日経BP総合研究所 イノベーションICTラボはジョブ型人事制度に関する意向を明らかにするために「ジョブ型人事制度に関する実態調査」を実施した。ヒューマンキャピタル・オンラインの読者などを対象にWeb調査をした。調査期間は2020年10月21日から12月4日まで。有効回答数は140件。