「ダイバーシティ&イノベーションリーダーズ(D&IL)フォーラム」(日経BP総合研究所が運営)では、企業のダイバーシティマネジメント推進を支援するため、参加企業の女性活躍度診断や年に数回の研究会を行っている。2020年8月27日、同フォーラムの2020年度第2回研究会がオンライン形式で開催された。この様子をリポートする。(取材・文=坂下明子)

 2020年度第2回の研究会も前回に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン形式による開催となった。今回のテーマは「ニューノーマル時代に求められるダイバーシティ経営」。はじめに、経済産業省の新・ダイバーシティ経営企業100選の運営委員長を務める、中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏が講演を行った。

オンライン会議システムで講演する中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏

 佐藤氏は最初に、ダイバーシティマネジメントや女性活躍推進に関する誤解について指摘。例えば「女性ならではの視点で商品開発」「女性だけのチームを組織」といった「女性をひとくくりにした取り組み」に疑問を呈した。さらにダイバーシティマネジメントの基本的な考え方は人材を「適材適所」で配置することだとしたうえで、今企業に求められているのは「望ましい人材像の見直しと、時代に合わせた組織の変化である」と語った。

 またダイバーシティ経営の実現には、様々な考え方の社員が同一方向を目指すための「理念統合」、多様な人材が活躍できる「働き方の改革」、多様な部下をマネジメントできる「管理職の育成、登用」の3つの取り組みが必要であるとし、ニューノーマル時代に求められる管理職のスキルや残業時間の削減方法など、課題解決の糸口を示した。

 佐藤氏が講演中に何度も口にしたのが「一人ひとり」というキーワードだ。管理職が部下をマネジメントする際、例えば「時短勤務の女性社員に泊まりがけの出張は任せられない、と決めつけるのは間違い」(佐藤氏)。女性は皆こういうものだと考えること自体がアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)だとし、「時短勤務でも、やりくりして出張できるかもしれない。性別や年齢などの属性が同じでも、価値観や希望する働き方は皆違う。部下一人ひとりの多様性に個別に対応することが大切」と述べた。

トップのメッセージと社員の行動が変化をもたらす

 続いて、2020年版「女性が活躍する会社BEST100」ランキング(月刊誌『日経WOMAN』と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」が選出)で総合1位となった日本IBMの取り組みを、同社人事ダイバーシティー&インクルージョン推進担当の伊奈恵美子氏が紹介した。「日本IBMでのDiversity & Inclusion 女性活躍推進」と題する講演では、1899年に女性、黒人の採用を開始し、1935年には人種、性別による給与格差を撤廃するなど、ダイバーシティにおいて常に世界をリードしてきた同社の「機会均等の歴史」を示した。