グローバル展開を見据えジョブ型導入した日立

 セミナー後半では及川氏、佐藤氏に、日立製作所人財統括本部人事勤労本部ジョブ型人財マネジメント推進プロジェクト企画グループ長の岩田幸大氏を迎えて、パネルディスカッションが開催された。モデレーターは日経BP総研の大塚葉が務め、「ニューノーマル時代の働き方、組織の在り方」をテーマに討論を進めた。議論に先立ち岩田氏から「日立が挑む、ジョブ型人財マネジメント」と題してインプットトークが行われた。

 日本企業として先駆的にジョブ型人財マネジメントを導入した日立製作所は、ニューノーマル時代の働き方を実践する企業として注目を集める。岩田氏は転換のきっかけが2008年のリーマン・ショックにあったことを紹介し、現在に至る経緯を述べた。「リーマン・ショックの際、製造業として戦後最大の赤字を出したことが、当社がグローバル事業に舵を切る転換点になった。グローバル事業拡大と社会イノベーション事業の推進をめざし、その中で多様な人財を育てるためのジョブ型人財マネジメントを開始した」(岩田氏)。

 高度経済成長期、同社は主に国内顧客のニーズに基づく製品・サービスを提供しており、社員は日本人男性が中心だった。現在、同社の人員及び売上収益の約半分が海外となっている。少子高齢化、人口減少という課題を抱える日本企業として、同社の取り組みはまさに時代を先読みしたと言える。

日立製作所 人財統括本部人事勤労本部ジョブ型人財マネジメント推進プロジェクト企画グループ長 岩田幸大(いわたゆきひろ)氏
1997年大学卒業後、日立製作所入社。工場、研究所、グループ会社等で人事総務業務に従事。現在は人事勤労本部にてジョブ型人財マネジメント推進プロジェクトを担当。中小企業診断士。ビジネス・キャリア検定試験出題委員(経営戦略部門)

 「グローバル市場で勝ち抜くためには、グローバルな“適所適財”を実現する必要がある。時間や場所の制約を超え、多様な人財がOne Teamで業務を遂行するためには、従来のメンバーシップ型からジョブ型への転換が必要だった」(岩田氏)。

 同社は2012年度に社員25万人の人財情報をデータベース化。その後、マネジャー以上のポジション格付や処遇改訂、教育プラットフォーム「Hitachi University」設立といったグループとグローバル共通の人財マネジメント基盤を順次導入した。「最近のアンケート結果によると、約半数の社員が今後も在宅勤務を継続したいと回答している。ニューノーマルにおいても多様な働き方を継続するため、より効率的・効果的に働ける仕組みと環境整備を進めていく」(岩田氏)。

 「対面での指導」「背中を見て学ぶ」といった活動が制限されたニューノーマル時代、同社はジョブディスクリプションやタレントビューといった取り組みをますます加速し、職務と人財の見える化を進める方針だ。