管理職・人事に求められるスキルとは

 パネル後半ではモデレーターの大塚が、ニューノーマル時代のダイバーシティ、ジョブ型雇用の在り方などについてパネリストに質問した。

 及川氏はD&Iについて「“何のためにするのか?”という共通理解が大切」と述べた。「ダイバーシティと聞くと、すぐ女性管理職の割合など数字の問題に結びつけてしまう傾向があるようだ。性別の問題だけでなく、D&Iを組織にとって重要な課題と認識するという第一歩を踏み出すべき」(及川氏)。

 佐藤氏はD&Iを成功させる秘訣として、管理職の意識改革が必要と指摘。「これまでの管理職は、自分と同じ価値観をもった部下をマネジメントしていたため,部下を理解する必要がほとんどなかった。最近は,部下の多様性が広がり、管理職には,多様な部下を理解するコミュニケーション能力が求められている。自分と価値観が異なる部下を理解するためには、想像力を働かせることも大切だ」(佐藤氏)。

 岩田氏は「従業員全員が、各自の能力をきちんと発揮できるような土壌を作ることが重要。ジョブディスクリプションは重要だが、これだけですべての業務が定義できるわけではない。目的意識をしっかり持ち、どのようにマネジメントするのかを上司が理解することが重要」と述べた。

「ニューノーマル時代の働き方、組織の在り方」をテーマにパネルディスカッション

 ジョブ型雇用についても、活発な議論が交わされた。人事で現場を見る岩田氏は「着手当時は反対意見もあった」と語った。「人事部門でも意見が分かれた。これまでの仕事のやり方とは全く違う部分もあり、抵抗感も強かった。現在においてもジョブ型への理解はまだ完全ではないので、社員とのコミュニケーションを通じ理解・浸透を進めている」(岩田氏)。

 及川氏は、ポーラでは現時点ではメンバーシップ型雇用を続けていると述べた上で「会社から言われたことをやるのではなく、自分がやりたい仕事は何かを社員自身が表明するというジョブ型の働き方が求められると思う。まずは人材育成のスタイルを整備し、企業と社員がともに信頼感を持って進める環境を作りたい」と語った。

 佐藤氏は、日本の雇用制度を変えるためには社員一人ひとりの意識改革が必要だと述べた。「これまで日本では、配置や異動つまり自分のキャリアを会社に任せた仕事中心の生活が当然と考える傾向があった。働き方改革で残業が減っても、仕事以外の生活を大切にする意識がなければ帰宅時間は変わらないだろう。今後大切になるのは、家族とのコミュニケーションや地域活動など、仕事以外の生活を重視する姿勢を社員自らが身につけることだ」(佐藤氏)。

 その他、リモートワークが標準になった場合の問題点や、成果重視のジョブ型雇用が企業にもたらす変化などについて、経営者、現場リーダー、有識者というそれぞれの立場から各自の取り組みを紹介。ニューノーマルの時代に、未来のビジネス像を示す一つの機会として活発なやり取りが行われ、セミナーは終了した。