新規事業創出にピープルアナリティクスを活用

古川: 今回のコンペティションでは、新卒採用の初期配属と中途採用においてピープルアナリティクスを活用した取り組みを発表なさっていました。この領域に適用した理由は何でしょう。

大神田: ソフトバンクは現在、既存の通信事業の成長だけでなく、通信以外の新規事業の創出に取り組んでいます。これにあわせた人材戦略として要員・スキル・マインドといった側面で新規事業に注力しています。ソフトバンクでは、ピープルアナリティクスを人材戦略推進の1つの手段と考えており、様々な取り組みを実施していますが、今回は、他社においても汎用性があると考えられる、この2つの事例を紹介しました。

御園生銀平氏(以下、敬称略): 今回発表した事例の中で、部署と個人の相性を定量化する部分では、ミツカリ(東京・渋谷)が提供しているサービス「ミツカリ」を利用しています。これは、約10分間のアセスメントで仕事に関する適性や価値観をAIで数値化する機能を備えたサービスです。このアセスメント結果を、R/Pythonなどのプログラミング言語や市販の可視化ツールを組み合わせて分析を行っています。

 従来、新卒採用の初期配属では、本人の希望と面接官による判断を中心にした配属調整を行っていましたが、配属候補先への本人の性格フィットスコアを算出し、スコアも参考にした配属調整を実施しました。性格フィットスコアは部門ごとの活躍層と非活躍層を定義して目的変数とし、性格特性データを説明変数としてモデリングし算出しています。

 算出したスコアは、分析精度、結果の解釈、運用方法等、様々な観点で検証が必要だったため、経営層をはじめ、社内のデータサイエンティスト専任部署、ミツカリ、人事内の他チーム等と慎重に確認を行いました。その上でスコアを教師データではないデータで確認したところ、特に非活躍層の予測精度が高いという結果になりました。こうした結果に沿ってトライアル運用を実施、2020年度に本格運用を開始しています。

[画像のクリックで拡大表示]
従来は本人の希望を元にした面談者の定性的な判断で異動先部署を決定していたが、そこに性格フィットスコアの数値を加味し、より精度の高い配置を目指す(出所:ソフトバンク)