2021年11月25日にオンラインで開催された「ピープルアナリティクス・カンファレンス2021」の中から、パネルディスカッション「ピープルアナリティクスやテクノロジーを活用した経営の意思決定」を振り返る。人事におけるデータやテクノロジー活用事例が増え、深化する中で、人材マネジメントにおける意思決定にはどのような変化があるのか。人事領域でデータ活用に取り組んでいるソフトバンクとシスメックスの現場担当者と、顧客企業を支援しているPwCコンサルティングのPeople Transformation パートナーが、ピープルアナリティクス・テクノロジーを活用したマネジメントの最新動向を議論した。モデレーターは、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員である古川琢郎氏が務めた。(取材・文=加納 美紀)

性格分析で組織フィットを可視化して採用可否を判断

 1981年の創業以来、情報革命の理念を軸に事業を推進してきたソフトバンクは、2017年ごろからIoT(インターネット・オブ・シングス)やAR(拡張現実)/VR(仮想現実)など通信以外の新規事業にも進出している。採用・人材開発統括部長を務める足立竜治氏は「事業環境の変化に付随して人材を新規事業にシフトする際には、人材のリスキル、マインドセットの転換、アナログからデジタルHRへの進化が必要になる」と課題を提示。デジタルHRとしてピープルアナリティクス(PA)を活用し、年齢やスキルなどの顕在情報だけでなく潜在情報として性格特性に基づく人材分析を組み入れ、人材の見える化を実施している。

 新規事業に適した人材の発掘・採用や適材適所への配置に取り組み、採用ではエントリーから書類選考、配属までAI(人工知能)をはじめとする最新テクノロジーを活用している。「中途採用を拡大しているが、業務内容や待遇面でのミスマッチや、組織とのミスマッチを防ぐことが大きな課題。ここに、性格分析を用いて募集部門へのマッチングを高めた」と話し、100人規模の新規事業部での採用における活用例を紹介した。「履歴書情報と一次面接情報だけでなく、性格分析から算出した組織へのフィットスコアを加味して採用可否を判断する。そうすることで、より客観的で公平な意思決定に結び付けることができる」と具体的な手法と効果を示した。

足立 竜治 氏
足立 竜治 氏
ソフトバンク コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長

 モデレーターの古川琢郎氏が「この取り組みのきっかけは? どのくらいの期間を要したのか?」と尋ねると、足立氏は「トップダウンで全社員の性格特性を調査し、並行して実際の採用プロセスではボトムアップで現場から意見を募る形を採り、1年かけて施行に至った」と説明した。同氏の「1年間での導入は早いといわれるが、本来は半年程度を目指していた」という言葉には他の登壇者も驚きを隠さない。現在は組織へのフィット感を確認するため、入社後インタビューを実施して検証も行っており、柔軟に修正しながら導入を進めていく予定だという。

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