200種類以上の人事ダッシュボードが稼働

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個々の人事関連システムはそのまま維持し統合データベースを構築した。3種のアウトプット先を設ける(出所:LINE)

白石: 世の中の企業の多くは四半期単位や月次のデータで経営判断を下していますが、LINEではその頻度では実情を把握できないのですね。佐久間さんと田中さんで今回のピープルアナリティクスプロジェクトを主導したそうですが、お二人はそれぞれどのような役割を担ったのでしょうか。

佐久間: 私が人事の立場から、データアナリストである田中はテクノロジーの専門家という立場でプロジェクトに携わりました。

田中賢太氏(以下、田中): 私は、もともとゲーム事業部でアナリストを務めていて人事には全く関係のない仕事をしていました。2018年に佐久間が立ち上げたピープルアナリティクスプロジェクトを見て、とても面白く、やりがいがある仕事だなと思って、手を挙げました。

LINE Employee Success室 田中賢太 氏(撮影:編集部)

 私はシステムやアナリティクスの知識はありましたが、人事に関する知見はほとんどありませんでした。人事のプロフェッショナルである佐久間と議論する中で、ピープルアナリティクスに関する知見がお互いに深化してきたと感じています。

佐久間: 私がプロジェクトを立ち上げた当初は漠然としたイメージしかなく、データ連携がどれだけ自動化できるのかも分かっていませんでしたし、システムもゼロから独自に開発する必要があると思っていました。しかし、田中が加わってくれたことで「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」を活用し、低コストで短期間に開発できることが分かりました。当初の想定よりもずっと早く、そして柔軟に自動化が進んでいます。

白石: BIツールが中核的な役割を果たしているのが「HR Dashboards」ですね。

田中: 「Tableau」というBIツールを使ってダッシュボードを実現しています。統合データベースに集約した情報に対して、組織別の人員構成や採用の進捗、勤怠実績など様々な切り口でデータを表示できるようになっています。統合データベースの情報が更新されれば、ダッシュボードも自動的に更新される仕組みです。現在は200種類以上のダッシュボードが稼働しています。その大半は自動的に更新され、年24回の発令に人手を介さず対応しています。

佐久間: 経営層から新たな指標が見たい、といわれたときには、田中がBIツールを使ってすぐに作成してくれます。人事チームの中にアナリティクスの専門家がいることで、経営のスピード感に追随できるようになったと考えています。

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「HR Dashboards」の例。経営向けレポートや、人事による各種指標定点観測、他部署向けの基礎データ提供など「HR Dashboards」の用途は多岐にわたる(出所:LINE)