ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会では、アカデミックな視点でピープルアナリティクスに関する学びを共有する講座「ピープルアナリティクスアカデミー」を実施した。2021年度最後となったオンライン講座「AI・データサイエンス分野の先端的分析技術とビジネスデータ分析」には、後藤正幸早稲田大学創造理工学部経営システム工学科教授が登壇した。この講座の様子をレポートする。(構成=原田 かおり)

優秀なAIには「良質なデータ」が不可欠

 後藤教授はピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会のアカデミックアドバイザーでもあり、同協会が開催する「Digital HR Competition」の審査員も務める。まず、後藤教授はデータサイエンスの現状として、1960年代から繰り返し起こってきたAI(人工知能)ブームが終わろうとしていることを指摘した。「現代のAIとは、計算機(コンピューター)に情報を処理したりパターン学習したりするためのアルゴリズムを実装し、膨大なデータを学習させたものだ。この際、良質なデータを学習させないと優秀なAIは作れない。そしてこのようなAIの特性をよく理解して、いかにうまく使いこなすかが重要になる」と話す。

後藤正幸(ごとう・まさゆき)氏
後藤正幸(ごとう・まさゆき)氏
早稲田大学創造理工学部経営システム工学科教授

 AIは人事データをはじめとするビジネスデータ分析のためのツールだ。特に人事分野では多変量解析(回帰分析など)による因果関係や施策効果の検証に取り組む企業が増えている。例えば、どんな社員にどのような研修を行うと学習効果が上がるか、新システムの導入でどれだけ生産性が向上するかなどの分析が挙げられる。また、社内コミュニティーの可視化やコミュニケーション改善などを目的としたクラスター分析やネットワーク分析も注目されている。

 こうした分析を行う際には見せかけの因果関係にとらわれないように注意しなければならない。例えば、2つの変数の関係性について、相関係数が+1か-1に近い値の散布図が描けたところで、両変数の間に必ずしも因果関係があると限らない。下図のように年齢層別に分類してみると、みせかけの相関(疑似相関)であったことが分かることもある。「共変量や選択バイアスをきちんと処理しなければ正しい結果は得られない」と後藤教授は指摘する。

(出所:後藤教授の講演資料)
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(出所:後藤教授の講演資料)

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