今までアナログ中心だった労働市場のさまざまな課題解決に最新のテクノロジーを導入することで「組織・個人のパフォーマンスの最大化」を目指す企業や団体が増えてきた。ただし、テクノロジーを導入したものの、成果に結び付けられているところが多いとはいえないのが現実だ。そこで、人材データを分析・可視化して人と経営の未来に活かすピープルアナリティクスと、それを牽引するHRテクノロジーの活用を「産・学・官」で 普及・推進するために設立されたのが「ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会」だ。

 この連載では、同協会の研究員がピープルアナリティクスで先進的な企業・団体の担当者に話を聞いていく。今回は、タレントマネジメントシステムで人材の可視化に取り組んでいるリコーの鈴木達也氏と古川雄大氏に話を聞いた。聞き手は、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員である中村亮一氏が務めた。(構成=日経BP 総合研究所 ライター 吉川 和宏)

若手4人のチームがピールアナリティクスの企画を立案

中村亮一氏(以下、中村):タレントマネジメントシステムを導入した経緯を教えていただけますか。

鈴木達也氏(以下、鈴木):ピープルアナリティクスやHRテックの活用が年々進化する中、リコーでも取り組みをさらに加速できないかという話が2019年頃から出てきました。当時、データに基づいた人事施策が十分に実現できていないという問題意識があり、これまでの慣習や既成概念にとらわれないように若手社員4人のチームで企画を立案してもらいました。人事業務とデータに詳しい人材3人と、IT組織でシステム導入の経験がある古川を含めた4人です。

リコー 人事本部 人事戦略部 戦略グループ リーダー 鈴木 達也 氏
リコー 人事本部 人事戦略部 戦略グループ リーダー 鈴木 達也 氏

中村:そのチームでは、どのような議論があったのですか。

古川雄大氏(以下、古川):現在、リコーは「OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革」を目指しています。まずはチームで、この実現へ向けた世界観を議論しました。ここで「個を生かす」という世界観にたどりつきました。具体的には、人事部が社員の仕事自律、キャリア自律をサポートできるように、パーソナライズされた支援を打ち出せるような体制や仕組みが必要だという話になりました。

 大きな変革を成し遂げるためには、多種多様な個性を持った人がチームを組んでシナジーを出していくことが欠かせません。それには、社員一人ひとりが「自分のできること」と「自分がやりたいこと」をしっかり理解し、自律的に働くことが必要だと考えました。これを具現化する手段として、タレントマネジメントシステムで個の可視化に取り組むことを決めました。

リコー 人事本部 人事戦略部 戦略グループ 古川 雄大 氏
リコー 人事本部 人事戦略部 戦略グループ 古川 雄大 氏

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