多様なメンバーが従業員体験の創出に取り組む

佐藤:どのような陣容でピープルアナリティクスに取り組んでいるのですか。

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員 佐藤 優介 氏(撮影:稲垣 純也)</p>
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員 佐藤 優介 氏(撮影:稲垣 純也)

坂本:私が所属している部署(採用ブランディング・ピープルアナリティクス課)は、ブランディングユニットとピープルアナリティクスユニットが一体になった組織です。このうち、専任でピープルアナリティクスに携わっているのは3人で、私以外の2人は入社2年目と1年目の社員です。2年目の社員は文系大学院で経営学やマーケティングを学んでいました。1年目の社員はデータサイエンスや機械学習について大学院まで学び、学生の就職支援団体の幹部・支部長を務めた経験があります。このほか、社内複業制度で別の部署の2人もメンバーに加わっています。年齢や専門分野も多様なメンバーで構成されたチームです。

佐藤:坂本さんは、どのような経験をされてきたのですか。

坂本:私自身は新卒でパナソニックに入社した後、工場の生産技術者としてキャリアをスタートした後、事業企画や海外営業などを経験しました。その現場で幾度か目にしてきたのが、やる気に満ちあふれていた新入社員が数年たつとその輝きを失っていく場面でした。私は、そこに強い危機感をおぼえました。

 創業者である松下幸之助の有名な言葉に「ものをつくる前に、人をつくる」というものがあります。私の中でも「当社はものづくりには長けているけど、人づくりは戦略的にできているのか」と人づくりへの思いが大きくなっていきました。その時ちょうど社内公募があり、2018年から本社採用部門で仕事をスタートしました。

 現在、私が「従業員体験の向上」というテーマに熱意を持って取り組めているのも、私自身が当社で良い体験をしてきたからだと感じています。もちろん、志を持って自ら意欲的に行動することが前提ですが、当社の様々な事業や制度を活用すれば、多くの成長機会があります。今後も、当社が社会にもたらす価値貢献を増大させていくために、社員が成長の機会をうまく活用しながら良い体験を積み重ねていく、そして当社で働くことに対するエンゲージメントを高めていくことができればと考えています。

佐藤:パナソニックの採用部門でのピープルアナリティクスには二つの特徴があるように思います。一つは、採用部門内にエンプロイヤーブランディング機能と一緒にピープルアナリティクス機能を持っていること。もう一つが、多様なバックグラウンドを持った比較的若いメンバーで取り組んでいることです。なぜ、これらが実現できたのでしょうか。

坂本:当センター所長と課長の二人がいて実現したことだと思っています。所長は、信じて任せるスタンスと採用活動をアップデートしていきたいという強い思いを持っていました。また、ベンチャー企業から中途入社した課長は人事だけでなく、営業・マーケティング・経営企画・広報/IRなどを経験しており、柔軟な発想で戦略策定やチーム作りができたのだと思います。