ピープルアナリティクスはあくまで手段

佐藤:今後のプランをお聞かせください。

坂本:先ほども触れましたが、ものを通じて社会に貢献してきたパナソニックはものづくりのプロセスにおいて「測れるものづくり」を大事にしてきました。その一方で、人づくりは一貫したプロセス(体験)として作り込めていないのが現状です。例えて言うとすれば「測れる人づくり」によって、より良い従業員体験を実現し、エンゲージメントを高めていく。これが、当社採用部門ピープルアナリティクスユニットのミッションといえるかと思います。

 このミッションに沿いながら、まずは現場を巻き込んで社内でデータ活用の好事例を作っていきたいです。小さな好事例を積み重ねていくことで、ピープルアナリティクスの活動がもたらす貢献範囲を広げていきたいと考えています。

佐藤:これからピープルアナリティクスに取り組む企業に対するメッセージはありますか。

坂本:「はやっているから、うちの会社でもピープルアナリティクスをやってみよう」というのではもったいないと思います。ピープルアナリティクスは人や組織の状況を見える化できる面白さがあり、安易に手を出してしまいがちですが、ピープルアナリティクスを「手段」ではなく「目的」としてしまうことは避けるべきです。経営戦略を実現していくために、まずは社員や組織のあるべき状態を考えることが重要です。

 当社の場合、これまで以上に加速する環境変化や、労働人口減少などによる人材獲得競争の激化が予測される2030年においても働く場として当社が選ばれ続ける状態を作りたいと考えています。そのために人材経済圏、すなわち社内外の労働市場における「エンプロイヤーブランディング」とより良い従業員体験を実現する「ピープルアナリティクス」に取り組んでいます。現在は、2025年をマイルストーンにステップを踏んで進めていきたいと考えています。

2030年に向けたロードマップ(出所:パナソニック)
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2030年に向けたロードマップ(出所:パナソニック)

 ただ、私たちのピープルアナリティクスの取り組みの方向性もまだまだ仮説段階ですし、日本におけるピープルアナリティクスもまだ成熟していません。私たちが得られた示唆を共有する機会をいただいたり、逆に情報交換やディスカッションを通じて学ばせていただいたりすることで、日本におけるピープルアナリティクスの活動が良い形で広がっていくといいなと思っています。