マネジャーを「優秀型」「ストロング型」「迎合型」「空回り型」に分類

佐竹:現場のマネジャーからは「自らのマネジメントについて振り返ることができた」「成長する必要性があると感じた」という前向きな意見が多い一方で、「自身の課題は分かったが、具体的にどうすればよいのか分からない」「優れたマネジメントの手法が知りたい」という悩みの声も上がってきました。こうした声を受けて、目指すべきマネジメントの在り方を見いだすために、リクルートマネジメントソリューションズの協力を得てFMDのプロジェクトを立ち上げました。テクノロジーソリューション部門の約400人のマネジャーと、約2000人の従業員に対して、より詳細なアンケートを実施・分析して、優れたマネジャーの具体的なマネジメント行動を可視化する取り組みです。

堀口:具体的には、職マネアンケートの結果と成果評価(編集部注:人事評価)に基づいて、マネジャーを「優秀型」「ストロング型」「迎合型」「空回り型」の4つに分類・定義しました。優秀型のマネジャーの行動に対して「優秀型であること」に影響を与えている特性を統計解析で抽出します。統計解析では、55の行動を因子分析によって要約し、回帰分析でその影響力を検証します。

「Fujitsu Management Discovery」におけるマネジャーの分類(出所:富士通)
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「Fujitsu Management Discovery」におけるマネジャーの分類(出所:富士通)

入江:FMDに取り組むに当たって、優秀なマネジャー像についての仮説を持ってらっしゃったのですよね。

佐竹:私たちには、これまでのように部下にタスクを指示して管理する上意下達型のマネジメントスタイルよりも、部下に自ら考えさせて力を引き出し、育てるコーチング型のマネジメントスタイルの方が自律性を高めるという仮説がありました。FMDは、これを実証するための取り組みでもあります。

 実際、FMDの分析結果でも、優秀型のマネジャーの大半がコーチング型のマネジメントを実践していることが確認できました。さらに、自分の思いや方向性をしっかり部下に語っている「ビジョン発信型」であるという新たな発見もありました。

優れたマネジャーの特徴(出所:富士通)
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優れたマネジャーの特徴(出所:富士通)

入江:アナリティクスに取り組む際には、仮説を立てることが重要ですよね。これがないと、せっかくの取り組みが実りのないものに終わってしまうこともあります。分析を行う際に、どのようなところに苦労なさいましたか。

堀口:当然、データのクレンジングや加工が必要でした。例えば、マネジャーを4つに分類しましたが、成果評価のデータ性質上、およそ3割が中間に集まってしまい、特徴が分かりづらくなります。そこでリクルートマネジメントソリューションズのアドバイスから、メリハリを出すために中間層を分析対象から取り除くようなことを行いました。

 また、実際の分析は私が行いましたが、文系の私にとってはやはり、R言語(統計解析向けのプログラミング言語)に慣れることも苦労した点の一つです。現在は先ほど述べたデータ分析WGの中で、ナレッジをシェアしたり、教え合いながら進めています。