ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会では、アカデミックな視点でピープルアナリティクスに関する学びを共有する講座「ピープルアナリティクスアカデミー」をスタートした。オンラインで開催された1回目のテーマは「人材の『優秀さ』の科学」。タレントマネジメントの重要性が高まる中、社員の能力や経験をどのように測っていくのか。今回は、服部泰宏神戸大学大学院経営学研究科准教授が登壇した。服部准教授の講演を踏まえ、企業人事担当者の活発なディスカッションも行われた。この講座の様子をレポートする(構成=原田 かおり)。

人事評価に加えて「評判」にも注目する

 服部准教授は、企業の人材採用改革をテーマに研究してきた。近年では採用後を起点とした様々なデータをもとに組織の優秀な人材をどう見いだすかを研究している。

 まず服部准教授は、組織を構成する人材の業績は正規分布になっていないという、近年明らかになってきた経験的事実を挙げた。社員の業績はベキ乗分布になっており、優秀な人材はその先端に表れることが分かってきたという。特に、スポーツ、アート、サイエンスなどの世界で顕著な傾向だが、企業でも「社員の業績が正規分布することを前提にした今の評価方法は現実には合っていないのではないか」と指摘する。

組織における優秀な人材はベキ乗分布の先端に表れる(出所:服部准教授講演資料に編集部加筆)

 では、優秀な社員とはどのような条件を兼ね備えた人材なのか。服部准教授は卓越した成果をあげていることと「組織内外からのビジビリティー(Visibility)が高いこと」という2つの条件を挙げた。組織外のビジビリティーの例を挙げると、専門性が高い研究職なら学会や論文での評価が参考になる。営業職なら社外に広い人脈を持っていることが高い業績につながるだろう。では組織内のビジビリティーはどう測るか。組織内で優秀な社員を顕在化させる仕掛けとして「社内の評判」に注目した。

服部泰宏神戸大学大学院経営学研究科准教授