社員一人ひとりが同期入社社員に対して「仕事成果に直結しないが、周囲のメンバーに良い影響を与えている」「人格的に尊敬できる」などの観点で思いつくメンバーを最大6人指名する。指名する際はS(同期6人中1人)、A+(同期6人中2人)、A(同期6人中3人)とページランク[注]の考え方で重みづけをする。すると、単にたくさんの人から指名されているのでなく「たくさんの人に指名されている人から指名が集まる」というレピュテーションスコアを設定していくことができる。こうした社内の評判を数値化することで、従来の人事評価だけでは分からなかった、評価も高くかつ評判も高い「スター社員」が見えてくる。

[注]ページランクとは検索エンジンのグーグルで、検索した言葉に対する適切な結果を得るために用いられている技術。グーグル創設者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏によって1998年に発明された。「被引用数(リンク)が多い重要なウェブページは重要度が高い」という考え方でウェブページの重要度を決定するアルゴリズムを指す

 ただし、スター社員は社内でどれくらい認知されているのか。服部准教授は日本企業14社の人事部門を対象にした調査を実施した。この全サンプル377人から人事が認識しているスター社員68人と無作為に抽出した一般社員から直近2期の高業績者90人を割り出し、集合関係で表した。スター社員で、かつ高業績と上司が評価する人材は一定数(c:26人)いるとはいえ、スター社員(a)と上司が認識する高業績者(b)がオーバーラップしていない可能性は高い。

(出所:服部准教授講演資料)

創造性を構成する3つの能力

 短期的な高業績でなく、長期的な視点で業績を上げていけるのがスター社員だ。ハイパフォーマンスを発揮する人材像として、従来の新卒社員採用基準では「コミュニケーション能力」(経団連調査)、「エネルギッシュで行動力のある人」(JILPT調査)といった項目が挙げられていたが、果たしてそれでスター社員を見いだすことはできるのか。「近年のマネジメント分野では、採用時でもその人材の創造性を重視するようになってきた」と服部准教授は指摘する。ビジネスの世界における創造性とはいくつかの能力の合成を指す。服部准教授は「ロジカルな思考力」「クリティカルな思考力」「ラテラルな思考力」という3つの要素で説明する説を採用している。