まず、ロジカルな思考力とは、問題となっている現象の本質的な要素を抽出し、要素間の関係を見いだし再構成する能力のことだ。次に、クリティカルな思考力とは、提示された主張を、ある基準で批判的に評価する能力を指す。そして、ラテラルな思考力とは事物に対する既存の認知パターンを越えて新たなパターンを生み出す思考のことだ。

 中でも服部准教授はラテラルな思考力に注目する。そもそも既存の枠組みを疑うことが、様々な方向性を開くスタートとなるからだ。「系統的・体系的に人と違う物の見方ができる人材が持っている能力ではないか。こうした能力を測っていくには従来の面談や評価などとは違う方法が必要だ」(服部准教授)

「優秀さ」を言語化する

 服部准教授の講演をもとに参加者のディスカッションも行われた。そこでは「自分が所属する会社における優秀な人材の定義とは何か」「人事評価と同僚からの評判の間にギャップがあるか。それをどう改善していくか」といった設問が投げかけられた。それに対し、参加者からは「次世代リーダー育成に取り組んでいるが年功序列に代わる明確な尺度がまだない」「優秀さの定義は職種で異なるのではないか。それを測るシステムが必要」「取引先を大切にしていて上司との関係が良くない例もある。相対評価なのでこうした人材の評価が低くなってしまうかもしれない」などの意見が出された。

 本講座のコーディネートを務める、大湾秀雄早稲田大学政治経済学術院教授は「経営人材育成選抜の際に、上司の推薦だけで選ぶとそこにバイアスがかかる場合もある。本来投資すべき人材に投資できているか。日本企業ではもっと優秀な若手の早期選抜や彼らが大きな仕事を経験できるチャンスを増やす制度作りが必要だ」と述べた。

 服部准教授は「上司の評価が難しい理由として、上司と同僚が持つ情報の非対称性が挙げられる。上司1人に対して複数の同僚の意見を平均値化すると正しい値に近づくことも考えられる。まず、自社における優秀さとは何かを定義し言語化することが最も重要だ。それを測定するには社内の評判や外部労働市場からの評価を持ち込むという方法もある。こうしたツールをどう組み合わせるかを考えていく必要があるだろう」と指摘した。