今までアナログ中心だった労働市場のさまざまな課題解決に最新のテクノロジーを導入することで「組織・個人のパフォーマンスの最大化」を目指す企業や団体が増えてきた。ただし、テクノロジーを導入したものの、成果に結び付けられているところが多いとはいえないのが現実だ。そこでピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会は、テクノロジーを活用して日本の企業・団体の生産性を向上させることを目的に掲げて、2018年から「Digital HR Competition(DHRC)」と名付けたコンペティションを開催している。

 この連載では、同協会の研究員がピープルアナリティクスで先進的な企業・団体の担当者に話を聞いていく。今回は、従業員の働きがいを毎月のパルスサーベイで分析しているライオンに話を聞いた。聞き手は、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員である伊達洋駆氏が務めた。(構成=日経BP 総合研究所 ライター 吉川 和宏)

「働きがい改革」の成果をデータで検証

伊達洋駆氏(以下、伊達):2019年7月からスタートした「ライオン流 働きがい改革」の成果をデータで可視化するためにピープルアナリティクスに取り組み始めたそうですが、この改革の概要を教えていただけますか。

加藤里奈氏(以下、加藤):当社は、2030年へ向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を実現するために、(1)4つの提供価値領域における成長加速、(2)成長に向けた事業基盤への変革、(3)変革を実現するダイナミズムの創出――という3つの成長戦略を掲げています。このうちの(3)が、私たち人材開発センターが担う領域です。

 この戦略を現実のものにするためには、個人が仕事に思い入れを持って生き生きワクワクと働くことを会社が支援していく必要があると考えています。そうすることによって、生産性が大きく上がるとともに、新たな価値が創造できるようになります。この結果、会社がサステナブルな存在となり、誰もが働きたいと思うような「強くて速い会社」になるはずです。こうした会社になることを目指して、2019年7月に「働きがい改革」を宣言しました。

 この改革では、従業員の健康行動の習慣化をベースとして(1)多彩な能力発揮を最大化するための「ワークマネジメント」、(2)働き方を変えて自律性を重んじる「ワークスタイル」環境の整備、(3)互いの理解と尊重による関係性の強化――を3本柱とした人事施策を企画・立案しています。

加藤 里奈 氏
加藤 里奈 氏
ライオン 人材開発センター