大村: 緊急事態宣言が解除されて、すぐの6月1~12日にアンケート調査を実施しました。対象は約1万人の従業員です。7530件の回答が得られました。

林: 回答率がすごい。信頼の蓄積だといえますね。

大村: この調査の中で、野﨑にも手伝ってもらって仕事の生産性と健康の関係を分析しました。回帰分析を行ったところ、精神の健康状態が生産性に大きく影響することが分かりました。また、職場のコミュニケーション量が多いと生産性が上がることも分かりました。仕事の生産性を上げるためには、精神の健康状態とコミュニケーションに気をつけていくことが欠かせませんね。

野﨑: 職種ごとの生産性も比較したのですが、面白い傾向が見えてきました。テレワークにすると、多くの職種で生産性が上がるのですが、研究開発は変わらないという結果になりました。一見すると、どうしても現場に行かなければいけない職種ではテレワークの効果が表れないように思えますが、例えば現場へ行くことが必須と思われている保守業務でも、人によっては大きく生産性が上がっていました。この職種だからテレワークに向いていないと決めつけるのではなく、個々の仕事内容に合わせてテレワークの仕方を考えれば生産性が上がるということです。

最終的なゴールを具体的に示すことが大切

林: 今後のフェーズ4や5では、どのようなことに取り組んでいくのでしょう。

大村: 「ウイズコロナ」といわれる時代を見据えて進めていきたいのが「ヒューマンネットワーク分析」、つまり人と人とのつながりを可視化することです。フェーズ4では「データの予測」、フェーズ5では「データドリブンな人事へ」というテーマを掲げています。最終的な目標を掲げて、現在の自分たちがどこにいるのかを見せることが大切だと考えています。役員や部長にピープルアナリティクスにおけるマイルストーンを見せることで、自分たちの取り組みを理解してもらえるようになります。最終的なゴールを具体的に示せば、専門家でなくても理解できるからです。全体のストーリーの中で方向性を決めていけば、いろいろなところに種をまくことが可能になります。

林: 今後の課題は何だと考えていますか。

大村: 人材育成です。現在は、アナリティクスに携わっているのは私と兼務の社員の1人だけです。スキルをトランスファーして、アナリティクスができるような人材を育成していきたいと考えています。