テクノロジーを活用して日本の企業の生産性を向上させることを目的に掲げて、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会が2018年から「Digital HR Competition(DHRC)」と名付けたコンペティションを開催している。この連載では、ここで上位に入った企業を中心に先進的な取り組みを紹介していく。今回は、2020年の「HRテクノロジーソリューション部門(テクノロジー・ツール提供部門)」でグランプリを受賞した、KAKEAI(東京・港)のクラウドサービス「カケアイ」を紹介する。(構成=日経BP 総合研究所 ライター 吉川 和宏)

「Digital HR Competition(DHRC)2020」HRテクノロジーソリューション部門のファイナリスト(写真提供:一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会)
「Digital HR Competition(DHRC)2020」HRテクノロジーソリューション部門のファイナリスト(写真提供:一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会)

 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会は2020年10月27日、「DHRC 2020」における「HRテクノロジーソリューション部門」のファイナルプレゼンテーションと審査会を開催した。ファイナリストとして残った下記の4社が登壇し、それぞれのソリューションを披露。審査の結果、KAKEAIの「カケアイ」がグランプリを受賞した。

●EYストラテジー・アンド・コンサルティング
「自然言語処理AI『JEFTY』を活用した人事評価の不満解消支援」
【概要】
評価コメントから評価視点のズレを可視化、評価効率化と結果の納得感向上につなげる

●KAKEAI
「マネジメント支援から社会を支える|ピープルサクセスプラットフォーム『カケアイ』」
【概要】
重要性と難度が急激に高まる最前線のピープルマネジメント支援から社会を支える仕組み

●ハッカズーク
「アルムナイ(退職者)に特化した『Official-Alumni.com』が生む価値」
【概要】
企業とアルムナイの関係から生まれる価値で、退職による損失という社会課題を解消

●ミツカリ/三菱UFJリサーチ&コンサルティング
「新規事業の成功確率を高める『アントレミツカリpowered by MURC』」
【概要】
データ分析と個別性の高い領域の知恵を融合した新規事業人材の発掘およびチームの組成

 カケアイは、現場の管理職を支援することを目的として開発されたクラウドサービス。上司が部下とコミュニケーションをとる際に適切なアドバイスを提供する機能を備えていることが大きな特徴だ。

 この機能は、同社が保有する特許でもある個人知を組織知化する技術がベースになっている。用途ごとに搭載する機能を変えた、「1on1プラン」「マネジメント強化・支援プラン」「人材育成デジタル化プラン」という3つのバージョンがあり、今回のコンペティションでは1on1プランが披露された。

 1on1プランは、その名の通り、上司と部下の1on1ミーティングを支援する機能を提供する。ミーティングを実施する前に、部下がウェブブラウザーの画面上で日程を指定した上で、話したい「トピック」と上司に「期待する対応」(一緒に考えてほしい、報告したい、意見を聞きたいなど)を選ぶだけで事前準備が整う。言葉で話すのが難しく面倒なことでも簡単に上司に伝えられる。

 ミーティングが設定されると、対象となる上司にメールやチーム・コミュニケーション・ツール(SlackやMicrosoft Teamsなど)で内容が伝えられる。部下の求める対応が事前に分かるだけでもコミュニケーションのズレは大きく減る。

「カケアイ」の1on1プラン画面(出所:KAKEAI)
「カケアイ」の1on1プラン画面(出所:KAKEAI)

 上司の画面には、過去の情報の分析結果から特性を判断して、予定されている内容に対して自分が得意なので安心して望んでよいものなのか、苦手だから注意して望むべきものなのかが示される。さらに他社を含めて、カケアイを利用しているマネジャーが入力した「このテーマにうまく対応するコツ」もレコメンドとして示される。

 ミーティング終了後に部下が「すっきり度合い」を評価する機能も備える。匿名性を担保しながら、集計した結果は上司も自身の行動を変えるための材料として手にすることができる。これを集計した結果が上司にフィードバックされ、前述した「得意・苦手」を分析するためのデータにもなっている。KAKEAIの本田英貴CEOは「最新のテクノロジーを駆使して、現場のマネジャーを支援していきたいと考えています」と抱負を語る。