1人当たり資産は3000万円

 オリエンタルランド(従業員8034人)の場合、従業員持株会に対して、61万6000株を付与している。ウォルトディズニー(同22万3000人)の場合は、7200万株。ネットフリックス(8600人)は2085万9326株となっている。1人当たりの株数で単純計算すると、オリエンタルランドは76株、ウォルトディズニーは322株、ネットフリックスは2425株となる。これにそれぞれの会社の株価(行使価格)を掛け合わせると“人的資産額”が見えてくる。

 ネットフリックスは124ドルなので、1人当たり30万ドル(約3150万円)。ディズニーは84ドルなので、2万7000ドル(約280万円)、オリエンタルランドは1万4940円(10月5日の株価)なので、110万円となる。もちろんこれで資産価値のすべてを示しているわけではないが、公開資料から読み取れる1つの指標と言える。

 いずれにしろ「人が資産」と言っても、「実際にいくら」となるとこれだけの差がついているわけだ。実際に株主も投資家もディズニーのテーマパークという固定資産よりも、魅力的な動画を作るネットフリックスの人的資産に期待をしているからこそ、急速に時価総額が伸びていることが見て取れる。

 ストックオプションや従業員持ち株が大切なのは、社員が株主としての権利を持てるからだ。株主総会で待遇改善を訴えることもできる。望ましくない話ではあるが、仮に解雇となっても、持ち株があれば配当を受け取ったり、売却益を得たりして、経済的報酬を得ることもできる。まさに株式という会社の資産を持つメリットは大きい。

 日本企業でも「人材は資産」を掲げるところは多い。新型コロナを受けて、リモートワークを推奨したり、オンライン飲み会を開いたりして社員への気配りは進め、働き方の多様性や社内の協調を意味することが多い。これからは「資産」という言葉を使うのであれば、アセット(資産)またはキャピタル(資本)として、どう評価しているのか数字で示さなくてはならない時代が来るだろう。ジョブ型が進み、年次や勤続年数ではなく貢献度に対しての報酬を決める流れが強まることも、“資産額”の公開を促すだろう。

 事業が好調な時は、「スタッフが資産」や「人的資本を重視」などと叫んでも、不調になったらただリストラするのでは、社員は浮かばれない。人的資本を掲げながら、具体的な数字が伴わない場合は、その方針や実効性に強い疑問を投げかける。社員も取締役も株主も取引先もそんな目線で組織を評価する時代が来ている。