職能と職務は何が違う? 実は表層しか見ていない

 今回のジョブ型導入に当たっては過去に浮上した課題は克服され、成功への道筋は見えているのか。「残念ながらそうではない」と指摘するのが、大人気連載「人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~」の著者、海老原嗣生氏だ。リクルートワークス研究所で「Works」編集長を務め、脱日本型人事の取り組みの歴史をつぶさに知る同氏は「“ジョブ型”というマジックワードを使って旧来の日本型を批判すると、何となく全てが正論に見えてしまう」と切り捨てる。

  「本気で日本型を変えるためには、雇用システム、そして人事というものを、隅々まで理解して、根治を目指さなければならない」として「職能主義と職務主義の違い」「成果主義の本質」など人事制度の基本について解きほぐす。人事担当者が“分かっているつもり”の事柄も、ファクトに基づいて見直すと、違った側面が明らかになってくる。

「ジョブ型」祭りに見る脱日本型、失敗の本質
人事制度の基礎を復習①職能主義と職務主義の根源的な違い
人事制度の基礎を復習②結局「職務主義もどき」しか作れない理由
人事制度の基礎を復習③成果給で本当に変わったこととは?

 ジョブ型について、海老原氏の論調は極めて辛口だ。「一人ひとりの職務はジョブディスクリプションで明確に規定されている」「ポスト指定の採用なので専門性の高い人材が集まる」「若手を抜てきできる」といった“ジョブ型神話”を、データや欧米の実情に即して片っ端から論破していく。社長からジョブ型導入を申し付けられた人事担当者にはぜひご一読いただきたい。ストップをかける格好の材料になるし、導入する場合にもリスクを知っておくべきだ。

今の時代にJDで細かく定義されたジョブなどありえない
なんだかんだ言っても新卒一括採用が最も合理的
「ジョブ型なら若くして出世できる」という勘違い
欧米には日本人の知らない二つの世界がある