まとめと考察

 今回はリモートワークが浸透し、毎日全員出社するという当たり前が問い直されて生まれる「オフィスの構え方の変化」を3パターンに分類しました。

 3パターンに共通する目的は「コスト削減」です。「オフィス運用の固定費を押さえたい」というコスト削減力学に大きく拮抗していた「利便性やステイタスにてオフィスは一等地にあるべき」という前提が崩れたからです。

 一方で、これらオフィスの構え方、つまり働く場の変化が、社員の働き方にはどのような影響を生み、コスト削減以外に新たに生まれる価値にはどのようなものがあるのでしょうか。ワークライフバランスの改善、生産性の向上等々、ある種の希望的観測は語られてはいるものの、具体的な想定や試算はコスト削減ほど簡単ではありません。これらは実際の移転・リニューアル後の運用を経て実態が明らかになっていくと考えられます。

 ここで留意すべきは、コスト削減にばかり気を取られ、そこで働く社員の変化をなおざりにすると、「流行りのフリーアドレスやABWを導入するも交流が活性化しない」といった典型的な失敗に陥ってしまうことです。働く場の変化と働き方の変化をリンクさせていくことはとても重要です。

 次回以降はここからさらに考察を深めていきますが、郊外移転やオフィスをなくすことはまだまだハードルが高いと感じる企業は少なくないことを鑑みて、「オフィスを縮小する」という3つ目のパターンについて深掘りしていきます。

 オフィス縮小と分散という観点からの「働く場でポートフォリオを組む」という考え方をベースに、オフィスは実際どの程度縮小できるか、縮小分は全て在宅勤務で代替するのが正解なのか、得られる効果はコスト削減のみなのか、業種や職種問わず適用できるのか等々、不明確な部分にメスを入れていきます。さらに働く場の変化と働き方の変化のリンクについても考察を進めます。どうぞご期待ください。