2020年、新型コロナ感染防止のため、採用面接のオンライン化が急速に進んだ。新卒就職希望ランキング上位常連の東京海上日動火災もその1社。米国のデジタル面接プラットフォーム「HireVue」で動画面接を実施し、数千人に上る応募者の絞り込みに活用する。オンライン化のメリットは面接の効率アップだけにとどまらないという。

 パルスサーベイを取り上げた前々回前回に続き、今回もホットなHRテクノロジーが働き方をどう変えているかを、インタビュー形式でお伝えします。

 今回のテーマは採用面接。オンライン面接をテーマに、東京海上日動火災の採用リーダーである山城さんにお話を伺います。デジタル面接プラットフォームで世界シェアトップの「HireVue(文末に概要)」を活用して動画面接を実施し、ユーザーである候補者、面接官や人事担当者の効率化のみならず、面接の高度化やコロナ禍対応にも成果を出しています。

 私(河野)は現在、アイデミーというスタートアップのCOO(最高執行責任者)として経営に携わっています。拡大期ということもあり、採用活動を日常的に行い、週2~3人の候補者の方とお会いしています。採用の重要性を痛感する一方で、その業務負荷や難しさには課題も感じています。

 2020年は新型コロナ感染防止のため、オンライン面接を導入する企業が急増しました。当社の採用面接も100%オンラインで、候補者と面接官がリアルタイムに面接する、いわゆるライブ面接を実施しています。一方で、候補者が自己PRなどの動画を撮影して送る、録画面接は実施していません。

 一見保守的と思える金融業界の雄であり伝統的大企業でもある東京海上日動で、オンライン面接をいち早く導入し、採用活動を一変させた山城さんとそのチームの手腕を垣間見られればと思います。

東京海上日動火災保険 人事企画部人材開発室 課長 採用チーム 山城 真(やましろ・まこと)氏
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東京海上日動火災保険 人事企画部人材開発室 課長 採用チーム 山城 真(やましろ・まこと)氏
2004年、京都大学(法学部)卒業後に、東京海上火災保険入社。国内営業部門で石油業界など担当。 2013年より、海外駐在員としてベトナム・ハノイに赴任。同国に進出する日系企業のリスクマネジメント等に従事。 2018年に帰任し、人事企画部にて採用業務を担当。同社初のキャリア採用を立ち上げ。2018年BOND大学Global Leadership 修了(MBA)(写真:稲垣 純也)

ブラックボックス化した面接を変えたい

河野: 2018年から動画面接ツールの導入を検討していたとのことですが、当時の課題感はどんなものだったのでしょうか。東京海上日動は就職を目指す学生にとっては圧倒的人気企業なので、社員の皆さんが面接に割く「時間」という資産の効率化が課題だったのではないか、と想像するのですが。

山城: もちろん効率化の側面もあります。コロナ禍前は、東京・千駄ヶ谷の研修施設で採用面接をしていましたが、数十分の面接のために、候補者の皆さんが費やす移動時間や交通費、待機時間などを考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。オンライン面接の導入でそれらを極小化できたという点では、大きな課題解決につながっています。

 同時に、同等かそれ以上に重要な課題がありました。面接内容が“ブラックボックスになる”という点です。自分以外の面接官がどんなことを質問し、候補者の受け答えに対してどう判断するか、が運営側として分からないという点です。

 今回選択したHireVueという動画面接ツールには、後からオンライン面接の過程をすべて見られる追尾機能があります。早送りもできるので気になる箇所を素早く確認することもできます。通過か見送りか、などの判断に迷ったりした時は上席者にも録画を見せて相談できます。

 さらに「なぜこういうことを聞いたのか」または「聞かなかったのか」と言ったやりとりを通して、面接官のレベルアップにも繋げられます。目線合わせや面接品質の向上に大きく貢献すると感じています。PCだけではなく、モバイルにも対応しており、いつでもだれでもどこでも見返せる、というのも大きな利点です。

河野: コロナ禍への対応のためオンライン面接を導入する企業は急増していますが、2018年当時はまだ一般的ではなかったですよね。社内で抵抗はなかったのでしょうか?

山城: 意外なほどありませんでした。まず、人事の組織内では直属の上司から即答でOKが出ました。当時の担当部長もあっさりと「やってみたら」と背中を押してくれました。現場の面接官も、最初は慣れない人もいたものの、時間がたつとメリットを享受してくれるようになりました。

河野: 失礼ながら「伝統的」な「大企業」、かつ「金融機関」のイメージからすると、驚きです。新しい取り組みに対する、前向きというか自然体な反応は組織文化なのでしょうか。御社が御社たるゆえんかもしれないと感じました。実際には、採用プロセスのどの場面で活用されたのでしょうか?