孤立する若手、休職も増えている?

 一方で、コロナ禍が長引くなかでマイナスの側面も見えてきました。

 特に私が、社会全体で注意していかなければならないと感じているのが、2020年度の新卒新入社員を中心とした、いわゆる“若手”のキャリア/スキル開発です。

 私が関与する複数の会社で、未来を担う若手社員が、様々な理由で心や体の健康を損ねて、悩んだり苦労したり、場合によっては休職したりしてしまうケースが、コロナ禍以前より増えているという実態を耳にしています。昨年はゼロだった休職件数が、今年は複数事案発生したなど数字に表れている例もあります。

 この背景については、私は次のような仮説を持っています。同僚や先輩、上司にあたる社員が隣にいて、ちょっとした相談や質問を気軽にできなくなったため、仕事の中で迷ったり戸惑ったりすることが増えたからというものです。初めての仕事ではどう対処すればいいか分からないことが次々と出てきます。成熟した組織で、教育体系が形式知化されていたとしても、新人をリモートだけで育成するのはかなり難易度が高いと言えるでしょう。

 仲間同士で学び合ったり励まし合ったり、先輩の見よう見まねで仕事を覚えていったりすることが役に立つのですが、その機会がコロナ禍に奪われてしまいました。日本のビジネス慣習に沿って「仕事は社会に出てから学ぶもの」という前提で学生生活を送ってきた多くの若手たちはいきなりハシゴを外された格好です。社会がこの状況に完全に順応するまでは、企業側で何か手立てを講じる必要があります。

 私自身も現在進行形で対処している最中ですが、「これだけは欠かせない」と確実に言えるものがあります。それは意図的な「コミュニケーション機会の創出」です。これまで、当たり前にあったものを、あえて作り出す必要が出てきたわけです。

 なお「従来と同じように毎日定時に物理出勤する」という選択肢は想定していません。コロナ禍のリモートワーク体験を通じて社会が学んだ、プラスの側面は活かすことを前提としています。