半強制1on1、リモートメンタリングがセーフティネットに

 例えば私の組織では、チームリーダーが半強制的にメンバーとの1on1ミーティングを設定することにしています。複数人でオンラインミーティングをしても、お互い気づけないことは多く、大人数の前で相談するのははばかられると感じる人もいるでしょう。だから1on1でのコミュニケーションをリーダー主導でセットするのです。

  「悩みはあるけれど、こんなことでわざわざ相談するのもなあ」と思ってしまうことも積もり積もって大きなストレスになることはこの数カ月で証明されつつあります。とはいえ若手のメンバーからリーダーに声をかけてオンラインミーティングをセットするのは、かなり敷居が高いでしょう。オフィスにいるときに「最近どう?」とリーダーや先輩から若手に声をかけたように、リモート環境ではリーダーから声をかけて1on1ミーティングを組みましょう。

 私の組織では、上司部下の関係を前提としたビジネスラインとは別に、組織が異なるリーダーが若手のキャリアやスキル開発の相談を受けるメンタリング制度も設けています。コロナ禍前からこの種の制度がある会社は多いと思いますが、今こそ重要性が高まっています。ビジネスラインでは上司が厳しいことを伝えざるを得ない状況が少なくありません。リモート環境で相手の状況を十分に捉えきれない中では、誤解を生じたり、必要以上にきつく聞こえたりすることがあるかもしれません。そういった場合のセーフティネットとしての役割がメンタリング制度に加わったと言えます。

 本稿の読者の中には人事部門に所属されている方も多いことでしょう。人事部門としても、コロナ禍を受け、従業員のキャリアやスキルの育成に日々頭を悩ませていると思います。上記のような対策に加え、従業員体験に注目し、エンゲージメントの向上を図る活動にさらに注力していく必要があるでしょう。エンゲージメントサーベイを実施してその結果を経営層、現場管理職と共有し、活用されている組織は増えつつあると思いますが、コロナ禍を受けてそのやり方や位置付けを見直していく必要があります。

 私の組織では、日々刻々と変わる従業員を取り巻く職場環境の実態を捉えるため、エンゲージメントサーベイを毎月行い、経営上の優先指標として重視しています。数字を把握するだけでなく、分析対象としてより高度な利活用を進めていきたいと考えています。どのような形で有効活用できるか模索中です。いずれ本稿でご報告したいと思います。