若手社員がリモートワークで孤立して心身の健康を損ねる――。筆者の身近ではこんなケースが増えているが、果たして世の中一般の傾向なのか。従業員コンディション発見ツール「Geppo」の提供企業に聞いてみたところ、意外な答えが。

 

 前回は「リモート環境で伸びる人、しおれる人、リーダーから声掛けを」と題し、若手社員がリモート環境で孤立し、心や体の健康を損ねることがあるという問題を取り上げました。今回はウイズコロナでの働き方が従業員に与える影響や、その解決の方向性について、従業員コンディション発見ツール「Geppo(ゲッポウ)」のサービスを提供するヒューマンキャピタルテクノロジー(東京・中央)のChief Customer Officer 最高顧客責任者の林 辰星さん、同社取締役の松田 今日平さんと考えていきます。

4つの質問で離職や生産性低下の兆しが分かる

河野: 2020年12月10日の日本経済新聞 電子版に、「テレワーク効率低い40~50代 若手は冷ややかな目」という記事が掲載されました。若い世代は「リモートワークにより効率が良くなった」と答える人が多い反面、仕事モードへの切り替えや同僚とのコミュニケーションに不便・不安を感じているというものです。

 感覚としては理解できるのですが、客観的なデータとしてはどうなのか。それを把握する手段が従業員コンディション調査だと思います。私が取締役をしているアイデミー(東京・千代田)でも、従業員の状態を把握するためにエンゲージメント調査ツールを導入しています。

 ただ、有効に活用できている面もあれば、そうでない面もあります。活用する中でいくつか疑問に思った点もありました。この辺りをお聞きしたいと思い、お二人にお声がけしました。まずはGeppoというサービスの概要を教えてください。

林: 事業としてのGeppoは2017年にスタートしました。リクルートとサイバーエージェントの共同事業コンテストがきっかけです。元々、ダイエットや健康維持のアプリで仕事の生産性を向上するというアイデアがあったのですが、肝心の「生産性の高さ」や「組織が良くなっている実態」を測る手段が無いことに気づきました。こで当時リクルート社員としてコンテストに参加していた私は、サイバーエージェント社員のメンバーとともにGeppoの事業化を起案しました。

 Geppoは以前からサイバーエージェントにあった仕組みです。「月報」という語源の通り、社員のコンディションや仕事の調子などを毎月調査していました。

ヒューマンキャピタルテクノロジーChief Customer Officer 最高顧客責任者の林 辰星氏(写真:稲垣 純也)
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ヒューマンキャピタルテクノロジーChief Customer Officer 最高顧客責任者の林 辰星氏(写真:稲垣 純也)

松田: この仕組みに、リクルートの知見を加えたのが現在のGeppo事業です。リクルートのワークス研究所のデータを分析したところ、離職や休職には「仕事満足度」「人間関係」「健康」が大きく影響していることが分かりました。このデータを追いかけていけば、離職やパフォーマンス低下などの兆しが分かるのです。

 当初はこの3つだけを聞いていましたが、今は4番目の質問として「あなたは今の職場を親しい友人に勧めますか」加えています。これは「E-NPS」と呼ばれるもので、顧客ロイヤルティを把握する「NPS(ネットプロモータースコア)」の従業員版です。組織が良くなっているかを測る指標が欲しかったのですが、エンゲージメントが生産性向上にも効くという調査もあり、従業員調査のグローバルスタンダードでもあるため、加えたという経緯があります。

ヒューマンキャピタルテクノロジー取締役の松田 今日平氏(写真:稲垣 純也)
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ヒューマンキャピタルテクノロジー取締役の松田 今日平氏(写真:稲垣 純也)