世界で1000万人が読んだビジネス書の金字塔『ザ・ゴール』。この書は既成概念を打ち破り、目覚ましい成果を出す「ブレークスルー人財」を育てる教科書でもある。著書エリヤフ・ゴールドラット博士の愛弟子で、全体最適のマネジメント理論「TOC(制約理論)」の世界的なトップエキスパートの岸良裕司氏が、ブレークスルー人財の育成法を分かりやすく、実践的に解説する。今回は、成長主義の人材マネジメント法である「成長ナビ」において、10年後の目標達成に向けて中間目標を設定するプロセスの詳細を解説する。
(写真:123RF)

 「人生の目標」と「仕事の目標」がオーバーラップした領域に高い目標(アンビシャスターゲット=AT)を設定することの意義、そして具体的な設定方法を解説した前回の記事が掲載されると、人事に関わる方々からさらに大きな反響をいただきました。メールで寄せられたご意見をいくつか紹介しましょう。

・毎日の仕事がつまらなく感じるのは会社のせいではなく、自分の目標が低いからだと気づきました
・他人から与えられた目標を追うことは他人のために生きることになりかねない。今の私に欠けていたのは自分の目標でした
・10年後の目標を考え始めただけでワクワクしている自分に気がつきました
・70歳を過ぎても貪欲に成長し続けるブレークスルー人財。今からでも遅くない。目からうろこです。未来に希望が持てました
・伸び悩んでいる部下と実践したら、素晴らしい目標が設定できて、その日から見違えるようにイキイキと仕事をするようになりました

 早速、多くの方々に10年後の目標であるATを設定していただき、本当にうれしく思っています。これらのご意見から人事部門の方に気づいていただきたいのは、制度として取り入れなくても気軽に実行できることです。例えば、1on1ミーティングの制度を設けることも挙げられますが、こうした制度がない組織でも上司と部下のコミュニケーションの工夫で実行に移せるでしょう。

 10年後の目標というと遠い未来の気がしますが、ひとたびATを設定すると多くの人がすぐにでも実現したいと考えるようになります。なぜならば、他人から与えられた目標ではなく、自分で立てたものなので「内発的動機付け」を生み出すからです。ましてや、その実現に向けて行動することは、現在の身の回りの「望ましくない現象(Undesirable Effect:UDE、ウーディーと読む)」の解消につながるからです。

 とはいえ、一足飛びにATを実現することは困難でしょう。そこで、今回は10年後の目標を達成する道筋をいかにつくるかを説明しましょう。