世界で1000万人が読んだビジネス書の金字塔『ザ・ゴール』。この書は既成概念を打ち破り、目覚ましい成果を出す「ブレークスルー人財」を育てる教科書でもある。著書エリヤフ・ゴールドラット博士の愛弟子で、全体最適のマネジメント理論「TOC(制約理論)」の世界的なトップエキスパートの岸良裕司氏が、ブレークスルー人財の育成法を分かりやすく、実践的に解説する。今回は、部下を育てる企業文化を醸成する秘訣を解説する。
(写真:123RF)

 前回まで2回にわたって、成長主義の人材マネジメントを実現する「成長ナビ」を解説したところ(前編は こちら、後編は こちら)、実際に試していただいた方も多いようで大きな反響をいただいています。なかには、次のようなご意見もいただきました。

「部下の『今はできない理由』を『目標達成のための道標』に変えていくという発想は目からウロコでした。私も部下もワクワクしながら中間目標を設定しました。信頼関係も高まり、その日から部下の行動が変わりました」

 この連載をきっかけに人事関係の方々から様々な問い合わせをいただき、人事の「あるべき姿」を議論する機会が増えました。

次世代人事のボトルネックは人事評価制度

 こうした議論では、いつも「次世代人事モデルのボトルネック(制約)は人事評価制度にある」という結論になります。というのも、人事評価制度は昇給や昇格、異動など従業員の処遇を決める根幹の制度であるにもかかわらず、「変えられない過去」を評価しているがために、必ずしも人材の成長に貢献していないからです。成果との連動が強い場合には、目標を低く設定する傾向があるために、成長を阻害する要因にさえなっているのです。

 志の高い若手の人事部の方々と議論して気づいたことは、大半の人が現状の人事評価に強い危機感を抱いていることです。彼ら彼女らは、多くの社員が現状の評価の仕組みに不満を持っているといいます。評価に不満のある人が多くなると、どのようなことが起こるでしょう。自分の評価に不満があれば転職する人が増えるでしょうし、不公平だと感じている人が増えれば社員間で軋轢(あつれき)が起こり、あちらこちらの職場がギスギスすることになりかねません。