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(1)仕事上の「望ましくない現象」をリストアップする

 未来を想像することは簡単ではありませんが、自分にとって「望ましくない現象」であれば、現実にある痛みなので誰でもすぐにリストアップできるでしょう。高い目標を立案するコツはマイナスからスタートすることなのです。TOCの知識体系に含まれるツールでは、成長ナビ以外でも「望ましくない現象」を起点にすることが多く、これを「UDE(Undesirable Effect:「ウーディー」と読む)」と名付けています。

 UDEをリストアップする際に注意しなければならないのは、数が多いほどよいというわけではないことです。自分にとって重要なUDEに絞ることが大切です。重要なUDEを解消すれば、達成感も成長も得られることになります。
 このプロセスは、高い目標を自分で設定できる人にも効果的です。高い目標を設定し、その達成を阻むUDEをリストアップすれば、課題が明確になって目標達成までの道筋が見えてくるからです。

(2)「望ましくない現象」をつかって「望ましい現象」を考える

 成長ナビがマイナスからスタートするのはプラスを創り出すためです。UDEを起点に、どのような状況になれば「望ましい現象」なのかを考えていきます。TOCでは「望ましい現象」を「DE(Desirable Effect:「ディーイー」と読む)」と名付けています。

 ここで注意したいのは、UDEを解消する手段を考えてはならないことです。それでは対症療法になってしまい、副作用として新たなUDEを生み出す恐れがあるからです。対症療法を繰り返してもUDEの原因となっている問題は解決できません。まずは、解決すべき問題が何であるのかを定義することが大切です。

 問題とは「現状と目標のギャップ」のことです。JIS(日本工業規格)の「マネジメントシステムのパフォーマンス改善」(JIS Q 9024:2003)でも、このように説明しています。つまり、現状よりも目標が高いところにあるからこそ、問題に遭遇するのです。

 この定義から考えると、対症療法で現在の症状を解消しても問題は解決しないことがお分かりになると思います。目標を達成しない限り、問題は解決しないわけです。「やれるかやれないか」は別にして、とにかくDEを考えて、目標を定義することが大切なのです。でなければ、何が問題なのかも分からないことになります。

 やってみるとお分かりになりますが、UDEからDEにひっくり返すのはワクワクする楽しい作業です。プラス思考とかポジティブ思考を実践することにほかならないからです。自分の重要なUDEの数々がDEに変わっていく中で、自分の目指したい目標が見えてくるわけです。

(3)「望ましい現象」全てを達成する自分の目標を考える

 次に全てのDEを達成した際の目標を考えます。今はできなくてもいいから、自分が10年後にどう在りたいかを考えればいいわけです。一足飛びに10年後の在りたい姿を考えるのは難しいのですが、いくつかのDEがあることで、これらを達成した10年後にはどんな姿なのかを考えやすくなります。

 ここで掲げる目標は「人生の目標」と「仕事の目標」がオーバーラップしたところに設定します。これが達成できたら、うれしいと思えるワクワクする人生の目標です。一日の大半の時間を仕事に使っているということは、一生の大半の時間を仕事に使っていることにほかなりません。だからこそ、仕事での成功となりたい自分の実現がオーバーラップできることが大切です。そうすれば、日々の仕事そのものが自己実現につながっていくわけで充実感ある毎日が始まります。報酬のように外から誘発されるのではなく、行為そのものが目的となる「内発的動機付け」を生み出すのです。