テレワークは今後も続き、出社と組み合わせた働き方が一般的になると予想されているが、実は世代によって捉え方に差がある。テレワークの見込みに対する世代間ギャップが、上司・部下間や先輩・後輩間のストレス要因となり、メンタルヘルスの悪化にもつながり得る。

前回は、日経BP総合研究所が2020年5月に実施した調査で、テレワークに対する男女の差に着目した。今回は世代間の差を見てみよう。
「現在、あなたはどのように仕事をしていますか」という問いに対して「すべてテレワーク」と回答した割合は20代、30代は30%強、40代は25%強、50代は20%と、若い世代ほど多い。「テレワークと職場勤務を組み合わせて仕事をしている」は20代、30代で47.5%、40代と50代は40%強。双方を合わせると20代、30代が8割弱、40代と50代は6割台となる。
「今から5年後(2025年)、あなたはどのように仕事をしていると思いますか」という問いに対しては、全ての世代で「テレワークと職場勤務を組み合わせて仕事をしている」が最も高い割合となる。その割合は若いほど多く、20代以下では79.7%に上る。この割合は世代が上がるごとに直線的に減り、50代は59%にとどまっている。
一方で「職場で勤務」の割合は「テレワークができない仕事である」「テレワークの環境が整っていない」を合わせて50代では19.5%に上り、世代が若くなるとこの割合は減少する傾向にある(定年を迎えた60代は「フリーランス/個人事業主として在宅勤務/テレワークをしている」「働いていない」といった回答が多い)。
つまり、若い世代ほど現在もテレワークをしているし、将来的にも何らかの形でテレワークが継続する可能性を意識していることは間違いない。
在宅勤務で人間関係が辛くなる?
在宅勤務は通勤費が削減でき、出社制限によりオフィスの縮小が可能になるので賃料も削減できる。テレワークを始めた企業の経営陣の多くは、これらのコスト削減効果を好むはずである。製造や物流、サービス業などの現場など人手が欠かせない職場以外では、定期的な出勤との組み合わせであっても、テレワークが続くことになり、若い世代の見込みが正しい。
テレワーク環境で働くなかで、上司・部下間、先輩・後輩間でストレスを感じる人が増えている。一因には、上述のテレワークの見込みに対する世代間ギャップがある。
厚生労働省の通称メンタルヘルス指針、「労働安全衛生調査」の平成30年度版では、仕事や職業生活に関することで「強いストレス」となっているものとして「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」」を挙げた割合は31.3%に達し、「仕事の質・量」、「仕事の失敗、責任の発生等」に次ぐ多さになった。十分な準備がないまま新型コロナの影響でテレワークを始めた企業で働く人たちは、画面越しのやり取りや、出社の際にもマスクの着用や他者との距離を保つことを強いられることなどで、円滑なコミュニケーションを取りづらくなっている。
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