読むものを差別しないのは母の影響

 読書が好きで、マンガに偏見を持たないのは母の影響が大きいかもしれない。私は子供の頃、田舎に住んでいた。街に出るにも時間かかったが、本屋に行くと母は雑誌でもマンガでも何の本でも買ってくれた。

 うちの母親は変わっていて、家に教科書を持って帰ると怒る。一方で、家では何を読んでいても怒らない。田山花袋の『蒲団』など、子供が読むにはあまり適切でないと思われていたような本を読んでも何も言われなかった。

 本を読むとその場所に行ってみたくなる。田山花袋の『田舎教師』という本を読んだときに、主人公が青春時代を過ごした埼玉県羽生市を訪れたこともあった。学校をさぼって見に行ったときは、先生にバレてさんざん怒られたが、母には怒られることなく、かえって褒められたくらいだ。

 そうした経験があるから、今でも専門書は良くてマンガはダメといった差別は全くしない。むしろ難しいことを易しく伝えるにはどうしたらいいかの参考にするため、技術者にこそマンガを大いに読んでほしいものだ。

 ただし私からマンガを借りた場合は、感想文の提出を求めている。飛ばし読みして「面白かった」と適当なことを書いてもすぐばれる。逆に「こういうところがビジネスのこんな局面にも通じる」など読み込んで自分なりの意見を書き込んだ人には、将来有望の期待を寄せる。マンガは深いツールなのである。