働き方改革の主要施策の一つだったテレワークは、新型コロナという「外圧」によって一気に普及した。今後の働き方改革の焦点は何か。「CHO Summit 2020 Winter」に登壇する新生銀行、味の素などの取り組みを探る。

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 「在宅勤務は2017年に導入したが、全く浸透していなかった。新型コロナで緊急事態宣言が出て、原則在宅勤務になった。コロナという『外圧』で一気に浸透した」

 キッコーマンの松﨑毅常務執行役員CHO人事部長は2020年10月16日「Human Capital Online」に掲載されたインタビュー記事でこう語っている。テレワークなどによって働く場所や時間に多様性を取り入れることは、働き方改革の重要なテーマの一つ。それを推進する原動力になったのがコロナという「外圧」であるというのは、松﨑氏だけでなく、多くの企業の経営者や社員の率直な感想ではないだろうか。

在宅と出社を組み合わせ、「どう働きたいか」を個人が選択

 そもそも日本企業が「働き方改革」に取り組むことになったのも、別の外圧によるところが大きい。前内閣が2015年にぶち上げた「1億総活躍社会の実現」の一翼を担うものと位置付けられ、総労働時間の削減のため、2019年4月には残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化などを盛り込んだ法改正が行われた。一定以上の規模の全企業が、国の方針に従わざるを得なくなったわけだ。

 これに対し、ウイズ/アフターコロナのこれからの働き方については、企業によって方針は異なるようだ。テレワークでも仕事の効率は落ちないと判断して「原則在宅」とする企業、営業力やチームワークの回復のため「原則出社」とする企業、出社と在宅の最適バランスを探って「在宅比率目標」を定める企業など多様化しつつある。「こうあるべし」という外圧から逃れて、各企業がこれからの働き方を主体的に考え、決定する時期を迎えている。

 最も生産性高く働くためには、出社と在宅の比率をどうすればいいか。その回答は、企業によって、部署によって、さらには個人によって異なる。テルモの西川恭取締役上席執行役員チーフヒューマンリソースオフィサー(CHRO)は「コロナ収束後については、出勤日が週4日、週2~3日、週1回以下という3つのパターンから、働き方を選べるようにするといった案を議論している。職種や部署ごとに決めるという考え方もあるが、各人が自律的に選ぶのが理想だ(関連記事)」と話す。

 コロナ禍以前から在宅勤務や時差出勤の制度を導入していた新生銀行では、今後の多様な働き方に向けた取り組みを「働き方リ・デザイン」として打ち出している。出勤と在宅、さらにはシェアオフィスやサテライトオフィスなどを組み合わせたハイブリッドな働き方を目指す。情報セキュリティを確保できる環境であれば、勤務を行う場所について制限を設けず、原則自由とする。2021年度中には通勤手当を廃止して業務支援手当に集約する。経過措置として2021年1月より通勤交通費の実費精算に加え、諸手当を含めた月1万円の支給を開始する。自宅での勤務環境を改善したり、通勤交通費に充当したりするための「原資」をしっかり保証するというわけだ。