2020年11月30日(月)、12月4日(金)に開催するオンラインイベント「CHO Summit 2020 Winter」。パネルディスカッションで取り上げるキーワードを掘り下げる。採用・育成はいずれもオンラインに急ぎシフトしているが、今後は「リアルでしかできないこと」の見極めが肝心となる。

(写真:123RF)

 コロナ禍の終息はいまだ見えず、企業の採用活動では2021年新卒の採用、さらに2022年新卒のインターンシップにも影響が及ぶ。多くの企業がオンライン活用をスタートしたが、そのメリットも見出されてきている。テルモでは21年新卒採用すべての面接と内定式を初めてオンラインで実施した。西川恭取締役上席執行役員CHROは「移動時間と経費がかからなくなり、地方の学生が多くエントリーしてくれた。また、オンラインのほうが学生の自然体の姿が見られたのではないか。オンライン面接開始前の学生との会話で人となりが分かることも多かった」と話す。

過去最大の1万人が応募したオンラインインターン

 ソフトバンクでは、22年新卒のインターンを完全オンライン化し1万人規模の応募があった。うち過去最高の800人をインターンで受け入れたという。従来は社員と一緒に職場で1カ月または2週間働くインターンシップを実施していたが、今年は職種別2〜7日間のコースとし、先輩社員の話を聞いたりワークショップを体験したりする形とした。

 「就業体験のインターンでは職種別の詳しい仕事内容を伝えるのが難しかったが、今年は職種に対する理解が進んだ。例えば『営業体感コース』では法人向けと個人向けの営業活動を両方体験できる。エンジニアも同様だ。ネットワークエンジニアの仕事はシステムエンジニアやセキュリティエンジニアより分かりにくいのだが、今回は理解しやすかったという意見も寄せられた」と源田泰之人事総務統括人事本部副本部長は話す。

 一方で、オンラインで代替が難しい「リアルでしかできないこと」の課題が浮上しつつある。自社のミッションや仕事の意義をどう浸透させるか、社員の帰属意識を確認しどのように組織力を高めていくかという観点だ。

製品に触れられない、仲間意識が芽生えにくい

 テルモでは、例年新入社員向けに実施してきた生産拠点や医療現場の見学や実習が難しく、研修担当者が20年4月入社社員に自社製品を説明するのに苦慮したという。「製品の実物を触ってみないと理解できないこともある。物流の現場などを動画で撮って共有するといった工夫をしているが、ビジネスにおける三現(現場、現物、現実)が揺らぎかけていると実感する。本質的な重要度は変わらないが、これをどう補完していくか。再定義が必要だ」とテルモの西川CHROは語る。

 20年4月に500人超が新卒入社したソフトバンクでも、入社後に配属エリアごと、女性同士など様々な形で、多数のオンラインミーティングを実施してきたが、すでに関係性の構築ができている既存の社員同士とは異なり、「新入社員は会社への帰属意識や同期の横のつながりを作りにくいのでは」という課題があった。新入社員が出社するときは彼らをケアする『エルダー』を務める社員が日程を合わせて出社するようにしている」と源田副本部長は話す。

 

 筆者は20年夏に開催した「 CHO Summit 2020 Summer」で次世代リーダー育成をテーマにしたパネルディスカッションのモデレーターを務め、「リーダー育成では、早期のグローバルビジネス経験が不可欠」という意見を多く聞いた。選抜した社員を海外派遣し、現地・現物の「リアルな仕事体験」によってグローバルレベルへのスキル向上を図る。パネルディスカッションに登壇したAGC、参天製薬、サトーホールディングスに加え、テルモやソフトバンクも、20~30代前半をターゲットにこうしたグローバル人材育成に注力する。しかしコロナ禍で海外への社員派遣ができず、リアルな仕事体験による育成が難しくなっている。