「ジョブ型雇用」が注目を集めている。「来期こそ当社もジョブ型に」と焦慮する経営トップも多いようだ。しかしジョブ型とは、どの企業でもすぐに導入できるのか。過剰な期待がありはしないか。「CHO Summit 2020 Winter」に登壇するカゴメ、参天製薬などの取り組みから、「自社に合ったジョブ型雇用」の在り方を探る。

(写真:123RF)

 ここ半年、メディアで「ジョブ型」という言葉を目にしない日はない。きっかけの1つは、新型コロナの影響でテレワークが浸透し、仕事の成果を労働時間だけで測りにくくなったこと。これを受け、業務内容を事前に明文化し成果を問うジョブ型が有効になるのでは、という論調が出てきた。中には「当社もすぐにジョブ型を導入しよう」と、ジョブディスクリプション(職務記述書)作成を急ぐ企業もあると聞く。

 しかし、このような風潮に対して「ジョブ型雇用という言葉の捉え方は様々なので、注意が必要」と指摘するのは、中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏だ。「導入すればすぐに長時間労働などの課題解決ができるわけではない」とし、ジョブ型をあたかも万能薬のように表現する一部の風潮に警鐘を鳴らす。

 さらに同氏は、日本でのジョブ型雇用の議論で欠落している視点として「雇用制度と労働市場の接続の見直し」「人事権の見直し」「社員の生活改革が不可欠なこと」を挙げ、導入と同時に雇用システム全体の見直しが必要になると指摘する。

 ジョブ型導入に成功した企業は、一朝一夕に切り替えたわけではない。例えば日立製作所は、「2008年のリーマン・ショックを機にグローバル事業拡大と社会イノベーション事業の推進をめざし、多様な人財を育てるためのジョブ型人財マネジメントを開始した」(同社人財統括本部人事勤労本部ジョブ型人財マネジメント推進プロジェクト企画グループ長の岩田幸大氏)。

 同社は2012年に社員25万人の人財情報をデータベース化し、マネジャー以上のポジション格付や処遇改訂、教育プラットフォーム整備といったグループとグローバル共通の人財マネジメント基盤を順次導入した。まさに10年近くかけて移行を実現してきたのである。

 また、ジョブ型導入をマネジャークラス以上に限定する企業もある。