(写真:123RF)
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 会社を動かしているのは言うまでもなく人であり、人々の力を効果的に成果に結びつけるために組織があります。グローバル人事として事業に貢献するには、事業に応じた組織の在り方を理解することが重要なので、今回はグローバル企業のガバナンスモデルについてお話をしたいと思います。

 20世紀の経営学者アルフレッド・D・チャンドラーが導き出した命題に「組織は戦略に従う」という言葉があります。会社や事業にはまず戦略があり、戦略を達成するために最適な組織を構築するというものです。

 グローバルスタンダードはこれにのっとり、組織設計をする際の優先順位は「戦略→組織→職務→人材」となります。組織をつくるときは、最初に戦略を立案し、それを実行するために最適な組織構造、つまり組織図をつくり、各ポジションの職務内容を明確にしてから、最適な人材をそれぞれのポジションに任命するという流れです。

 これに対して、日本ではどうでしょうか。最近は外部からの人材採用が増えてきたものの、海外の企業と比べると比率は圧倒的に少なく、組織の構築を検討する際は、社内の人材、つまり自社の保有能力を基に考える傾向があります。「Aさんがいるからこんな組織を作る」という発想で、その手順は「戦略→保有能力→人材→組織→職務」となり、最後の「職務」は定義されないこともあります。

 さらには、まず社内の人材で何ができるかを考え、戦略を決めるという「人材→保有能力→戦略→組織→職務」という本末転倒な優先順位となることも散見されます。海外において、この優先順位を間違うと「リーダーは何を考えているのか」と信頼を失う恐れがあります。グローバルスタンダードに合わせ、日本でも組織設計する際は「戦略→組織→職務→人材」の優先順位で検討すべきです。

 この優先順位に基づく考え方は、組織構築以外にも役立つことがあります。欧米では部下が役割以上の成果を出しているとして、職務の拡大や昇進など新たなポジションをアピールしてくることがあります。

 それが正しいアピールであれば対応すればいいのですが、合理性を欠いたアピールであれば「組織は戦略に従う」という、この理論を用いて、戦略に基づいて組織を作っているので「そのようなポジションは作れない」と説明をすることができます。

 海外進出の状況により、組織構造は事業の発展とともに変化していきます。どのように変化していくのか、企業の海外進出のステージごとに見ていきましょう。