(写真:123RF)

 横断歩道で左右を確認すると車の影はまったく見えない。それでも信号は赤なので多くの人が整列して待っている。日本の会社に漂う停滞感をこう表現した人がいて、なるほどと思いました。

 若い社員が「先を急ぐので渡ります」と言っても上司が「信号が青になるまで待て」と止める。こうしたことが繰り返されると社員は仕事に熱中するどころか、決められたこと、与えられたことだけを繰り返すようになりかねません。

 米国では正反対です。車が見えないならどんどん渡ります。センサーが付いた信号機も設置されており車が来ないのであればずっと青信号になっています。

 社員が目の色を変え、世界のマーケットで勝っていく仕事に熱中する。そうなる人事をあれこれ工夫する。そうした競争をシリコンバレーではCEO(社長)が先頭に立ってしています。私は30年ほどシリコンバレーに住み、3社のCEOを務め、採用から報酬や職務内容の交渉、評価も担当し、競争に参加してきました。

 ところが日本に帰国してみると、そうした人事の競争がされているようには見えません。従来のルールを外し、会社がマーケットで勝っていける人事改革に人事の人が熱中することが日本にとって何よりも必要ではないでしょうか。

 新型コロナウィルスの問題が続いていますがリスクはチャンスでもあります。これからの人事をつくっていく最高のチャンスととらえましょう。このチャンスを逃したら人事の変革ができず、世界の競争がますます激しくなる近い将来、会社の敗退につながるかもしれません。

 私が言っている人事の改革は、あくまでも日本に適し、しかも世界競争に勝っていけるものを指します。シリコンバレーのやり方が日本でそのまま使えるとは限りませんが参考になる点はあるはずです。そこで日本で働いている方々と対話し、シリコンバレー人事の可能性を探ろうというのが本連載です。

 今回の対話の相手は日本のマスコミで営業系の仕事をされている40代の方です。新規事業を生み出さそうと努力されており『シリコンバレーと日本』と題した私の講演を聞きに来てくださいました。彼と同じ課題を持つ方が他にも多くおられるでしょう。以下でQとあるのはマスコミ勤務の40代の方の発言、Aは私の発言です。