採用は会社総がかりで実施

Q:入社が極めて難しいとされるグーグルに須藤さんは入ったわけですが同社の採用について何か感想はありますか。

A:坂本さんがおっしゃった通り、シリコンバレーの会社は良い人材を採ることに躍起になっていますがグーグルもまさにそうです。いわゆる福利厚生の充実ぶりについては時折報じられていますよね。社員が毎日心地よく過ごせる環境が用意されていました。

 バリスタ、ゲームセンター、運動場、遊びルーム、秘密のバーまであります。乳幼児から預かる保育サービスも充実しています。勤務時間中でも社内のプールやジムに社員が大勢います。ヨガやメディテーションのクラスまでありました。独身の人はカフェテリアで晩ご飯を食べて、ランドリールームで洗濯中に散髪をしてもらい、グルメコーヒーを飲んでから家に帰ります。お金を持って来る必要はありません。すべてタダですから。

 採用そのものにも相当な時間とお金を投じています。グーグルが優秀なリクルーターを使って、これはという人を探していますし、社員が推薦した人が採用に至ると相当なインセンティブが社員に出るそうです。出るそうです、と申し上げたのは、私も入社してから優秀な方々を推薦したのですが採用が厳しくて残念ながら入社に至った方はいなかったからです。

ゴールデンレトリバーの「ビスケット」をオフィスに連れていって仕事していた(写真提供:須藤氏)
ゴールデンレトリバーの「ビスケット」をオフィスに連れていって仕事していた(写真提供:須藤氏)

Q:ある実力者が転職した際、その人と一緒に仕事をしてきた人たちも丸ごと移籍する、といったことが米国でしばしばあります。でもグーグルではそうならないわけですね。

A:グーグルに入った人はそういうチームの人たちを推薦できるでしょうが、だからといって入社できるとは限りません。レジュメ(履歴書)の審査も厳しいですが、7人から8人の社員と会うインタビュー(面接)も大変です。

 私の場合、ドキュメンテーションチームのマネジャー、すでにグーグルで仕事をしているテクニカルライターの方々からインタビューされました。1人との対話に30分から1時間かかりますから合計すると7時間から8時間。これを1日でこなすのです。

 専門的な質問をする人、一般的な質問をする人、トリックの質問をする人、様々でした。そのうちの1人とカフェテリアでランチを一緒に食べます。そこでも面接は続いているわけです。面接官のうち1人でも何かが気に入らず、ある項目に低い得点を付けたら、その人は採用されません。

 グーグルに入ってしばらくして、私もこうしたインタビューのトレーニングを受けました。こういう点に注目して話をするように、これは尋ねてはいけない、といった具体的なものでした。インタビューについては人事から日時と場所の連絡があります。指定された時刻に出向くと入社希望の人が来ているのでインタビューをします。実施したら翌日までに報告を書いて人事に送ります。

 インタビューした社員全員がオーケーを出してもそれだけでは決まりません。上級マネジメントスタッフが集まって最終審査をします。私が入った2010年には創業者も最終審査メンバーに入っていたと聞きました。最終審査で落ちることも結構あるそうです。とにかく会社総がかりでよい人を探し、採用しようという姿勢でした。