(写真:123RF)

 題名の「シリコンバレー流人事」とは米国のシリコンバレーで行われている、採用や評価の仕組み、組織運営の総称として付けました。シリコンバレーは米アップルや米グーグルをはじめ、世界規模で事業を手掛ける元気な企業を輩出し続けており、そのカギの一つは人事です。優秀な人材を集め、やる気を出してもらうにはどうするか、様々な工夫がこらされています。

 私はほぼ30年間シリコンバレーに住み、自ら起業したスタートアップも含め、3社のCEOを務めました。採用はもちろん、雇った後の評価、報酬や職務内容を巡る交渉も自分でやってきました。2017年に日本へ戻り、彼我の差を感じています。日本企業はもっと社員のやる気が出る人事をしてほしい、これが私の思いです。

 シリコンバレーで起業するきっかけになったのは日本企業とシリコンバレー企業の人事の差でした。もともとNECに勤めていた私は1987年、NECアメリカに出向し、日本で開発したインターネット製品を売ろうとしましたが全く売れませんでした。そこで米国で技術者を採用、インターネット製品の開発を始めたのですが、同様の製品をつくったシリコンバレー企業にあっという間に抜かれました。

 成長しているシリコンバレーの企業を調査してみると、社員が目の色を変えて仕事に熱中する仕組みをいかに用意するかで各社が競っていました。シリコンバレーで働く人たちは、どの企業にどのような制度と待遇があるかを調べ、自分でキャリアの計画を立て、実行していくのです。私もシリコンバレーのスタートアップのような評価・報酬制度を作りたいと日本の本社と交渉したのですがなかなか進まなかったので退職、1996年に起業しました。

 成功企業を生み出し、活気があるシリコンバレー企業の人事に参考になる点は多々あります。これらを知った上で日本の人事戦略を決めてはいかがでしょうか。「日本企業もシリコンバレー流人事をせよ」ということではありません。シリコンバレーと日本の文化は違いますから。といって「面白いやり方だが、それはシリコンバレーだからできること」と受け流すわけにはいかないのではないでしょうか。

 

 私はかつて日本企業に勤務していましたが長期間日本を離れていましたので、今日本企業で働く方、社会人になったばかりの方にお願いし、私に質問をぶつけてもらいました。両者のやり取りをご紹介しますので、シリコンバレー人事のメリットを見極めていただければと思います。

 1回目の相手は日本の大手製造業の人事部で仕事をされてきた30代の方です。

社員が言うことを聞かない

Q:日本企業は動きが遅いとしばしば言われます。理由の一つは上司の指示と現場の動きが合っていないことではないかと見ています。上司が何か指示を出すと「はい」と返事はするものの、実際には納得しておらずやらなかったりする。指示がおかしいのか、現場が悪いのか、一概には言えませんが。シリコンバレーの企業はトップダウンだから素早く動けるのでしょうか。