みんなピッチャーをやりたがったらどうするか

Q:やる気を出してもらう人事をしようとして、異動の希望を聞くことがありますが、みんなピッチャーをやりたがるのでなかなか難しいです。例えば新規事業をやりたい、と書いてくる人が沢山います。でも私がやっている人事、あるいは経理をやりたいという人はあまりいません。地味な仕事と思われているようで。このあたりシリコンバレーではどうしているのでしょうか。

A:スタートアップの場合、創業者は理想の野球チームを作ろうとします。こういう役割が必要だからそれをこなせる人をとろうと計画し、面接し、採用する。ですが実際に9人を組み合わせてみると理想のチームにならない、それがほとんどです。

 そうなるとまず自分のチームがどういう集まりなのかをよく理解し、どこで強さを出せるかを考え、集まってきた人の力を生かすことを考えます。このとき前回お話した通り、ビジネスプランが前提になります。強みを出せる試合を進めるにはどうするかを考えるわけで、ビジネスプランがなかったら試合になりません。

 ピッチャーのつもりで採用したらどうも違った、ということはもちろんあります。その場合、交代させるわけですが、その人のキャリアップを提示して説得します。「あなたは足が速いから、いったんレフトにまわってくれないか」といったように。

 シリコンバレーの人は自分のキャリアを高めていくことを真剣に考えていますから、それに応える話をしないといけません。レフトで成果を出してくれればよし、いったんレフトに就いたものの、どうしてもピッチャーをやってみたいというなら別の会社に移ってもらうことになります。

 私はインターネット関連機器のスタートアップをシリコンバレーでつくり、CEOをやりましたが、製品の最終検査をやってくれる優秀な人を探すために結構苦労しました。出来上がった製品を検査する仕事は地味ですから、みんなやりたがらない。

 そこで候補となる人に次のように説明していました。検査は製品のすべてを知らないとできない。その製品が使われる環境のことも理解しないといけない。つまり視野が広がる。検査の仕事を続けているうちに、あなたがやりたいと言っている商品開発の力もついてくるはずです、と。