働き方が急速に多様化するのに伴って、人事部門が担う人材マネジメントにも大きな変化が求められている。「CHO Summit 2020 Winter」(2020年11月30日、12月4日オンライン開催)では、SAPジャパンの佐々見直文氏が人材マネジメント強化について講演した。(取材・文=日経BP 総合研究所 ライター 吉川 和宏、撮影=川田 雅宏)
SAPジャパン 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長 佐々見 直文 氏

働き方の多様化に伴って人材マネジメントの強化が必須に

 佐々見氏は「デジタル技術を活用することによって、これまで以上に多様な人材を迅速に採用・育成し、定着させるような仕組みをつくることが求められています」と強調する。同氏は、人材マネジメントを強化する際に対応すべきポイントを3つ掲げる。

 1つ目が、「自社で働く人材の多様化」だ。ビジネスのグローバル化や、消費者のニーズがモノからコトへと変化する中で、業界や国・地域の垣根を超えて人材が流動化・多様化していることへの対応だ。
 2つ目が「働き方の多様化と働く人の意識の変化」。分散型組織やジョブ型雇用、副業の解禁など働き方の多様性が高まるのに伴って、仕事に対する取り組み方や自身のキャリアを再考する人材が急増している。こうした人材に対して新たな対応が必要だというのだ。
 3つ目が「リスキル(学び直し)ニーズの高まり」である。急速に変化するビジネスのスピードに対応していくために、多くの従業員にリスキルの機会を与えることが必要だと指摘する。  こうした課題に対応するためにSAPジャパンが2020年5月に提供を開始したのが、人材マネジメントを強化する「HXM(Human eXperience Management)ソリューション」だ。

エンゲージメントの向上が人事部門の重要な役割に

 これは、クラウド人事システム「SAP SuccessFactors」と従業員エンゲージメントシステム「Qualtrics EmployeeXM」をコアとしたソリューション。顧客企業のニーズに応じて、人材関連ソリューション分野の特定領域で強みを持つ9社のパートナーソリューションを組み合わせて提供する。

 1つ目の「自社で働く人材の多様化」に対応するためには、従業員のニーズをきめ細かく把握する必要がある。この実現に向けて、ほとんどの企業が定期的に従業員サーベイを実施しているが、その頻度は年に1回程度というのが現状だ。しかし、佐々見氏は「入社時や昇進、異動などのイベントが発生する度にサーベイを実施して、継続的にPDCA(計画・実行・検証・改善)サイクルを回していくことが望ましいでしょう」と指摘する。
 こうした課題を改善するために、HXMソリューションは容易にサーベイと分析を実施するための機能を搭載。あらかじめ用意したテンプレートから選択するだけでサーベイを実施できるとともに、ダッシュボード上で様々な軸で分析する機能を備えている。

 2つ目の「働き方の多様化と働く人の意識の変化」への対応とは、会社の目標と個人の目標を整合させることによって、従業員のエンゲージメントを高める取り組みのことだ。この実現のためにHXMソリューションは、会社の目標や経営層からのメッセージ、それらの実現のために従業員が体現したストーリーを共有する機能を備えている。個人の目標では、定量的な目標に加えて、自身が携わっているプロジェクトと会社や上司の目標との関係などが提示される仕組みになっている。目標達成の進捗状況や、達成のために必要なアクティビティーを提示する機能も備えている。

 3つ目の「リスキルニーズの高まり」への対応に向けて、HXMソリューションは外部のコンテンツと連携したトレーニングツールや、誰がどのスキルを学んだのかを管理する機能を提供している。

 佐々見氏は「これからの人事部門にとって、従業員のエンゲージメントを高めることが重要な役割になってきています」と説明する。エンゲージメントが高い上位25%の企業は、下位25%の企業に比べて、顧客満足度、生産性、売上高、利益率のいずれも高い数値を示している調査もあるという。同氏は「HXMソリューションを通して、日本企業のさらなる発展と個人の成長に貢献していきたいと考えています」と抱負を語る。